2015 Fiscal Year Research-status Report
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26780036
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 年齢差別 / 整理解雇 / 高齢者雇用政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
整理解雇基準における人選基準の問題について、とりわけ本テーマと関連する「年齢」の問題も含め、合理性を判断するための指標を打ちたてることを試みた。 整理解雇法理の正当性判断の4基準における「人選基準の合理性」については、その合理性が否定された場合、当該労働者に対して論理必然的に解雇権濫用となるという意味で 、極めて重要な位置を占めている。かかる重要性にも関わらず、指標(メルクマール)の構築が――複数の基準が相互に矛盾しうるため、あるいは、事案ごとに基準が異なりうるなどの理由で――避けられてきた。合理性が認められうる人選基準が不明確な状況は、被解雇者となりうる労働者にとってはもとより、経済的理由によりやむを得ず整理解雇を行おうとする使用者にとっても、好ましいものではないであろう。 近年の判例法理を中心に検討を行った結果、現在は差別禁止事由とはされていない、病気、年齢、障害、を理由とする基準について、合理性が疑わしいとの結論を示した。こんにち重要性を増している雇用平等法理との関係でも、人選基準の合理性を明確にしておく必要性が高まっている。さらには、人選基準適用の公平性について、他の労働者との比較考量をも行う立場からは、より一層、厳格な合理性の判断が求められる。 また、高齢者雇用政策と労働組合との関係についても、歴史的な経緯をふまえ、いくつかの提言を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、日本法の研究にウエイトを置きすぎたため、アメリカ法や隣接する学問分野についての研究が、やや遅れている。最終年度へ向けて、総合的な研究成果の取りまとめを行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に蒐集した資料を中心に、エイジズムの影響と法政策の在り方などについて、より研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品や書籍について、当初の計画よりも安価に手に入れられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、出張費と消耗品に充当させる予定である。
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Research Products
(2 results)