2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780038
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
小島 陽介 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (40551487)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 共犯論 / 因果関係 / 心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究の初年度であることから,知識の吸収に重点を置いた。具体的には,法学(特に共犯論)および心理学に関する書籍(心理学は社会心理学を中心としつつもそれに限らず,一般心理学や犯罪心理学など幅広い分野の文献を対象とした)を数十冊にわたり購入し,精読して要約し,自らの知識とした。また,関連する学会である「法と心理学会」および「札幌法と心理研究会」に新規加入し,大会および研究会に参加することで,多大な刺激を得た。 知識の吸収に重点を置いた関係上,平成26年度中には成果物としての論文を多く公表することはできず,それは平成27年度以降の課題であるが,複数人によるやり取りが犯罪に現れた場合の実務の解決の評価として,裁判例の評釈を小樽商科大学の「商学討究」誌に掲載予定であり(すでに投稿済み),さらに数本の評釈を投稿準備中である。さらに,心理的因果性に関する報告を2015年の日本刑法学会ワークショップにて行う予定である。そこでは,刑法上発生した結果の帰属のために不可欠な要素である「因果関係」が,心理領域においては不明確な内容・位置付けしか与えられていないことを摘示し,適切な判断を行うための枠組みを指摘する予定である。この枠組みをさらに発展させることで,他者の心理を媒介する犯罪についても,ただ「関与行為を行った」だけで処罰するのではない適正な処罰を基礎付けることができるという意義を有する。平成26年度の研究は,そのための基礎固めをするという役割を果たしたものと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度はやや知識の吸収に重点を強く置いた嫌いがあり,そのため中間的な成果の公表が少なかったと自ら評価している。今後はアウトプットの観点からもスピード感ある研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,知識の吸収と並んでその整理および中間的な結論を成果として公表できるようにする予定である。具体的には,更なる文献の精読と並び,学会や研究会にも精力的に参加して研鑽するとともに,機会があれば報告を行いたいと思う。
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Causes of Carryover |
当初申請額よりも減額されて交付されたことから,文献購入費に充てるべく大きな支出となる旅費での使用を控えていたため(別の研究費等で参加しており,研究会の参加自体を減らしていたわけではない)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度以上に積極的に研究会等に参加し,また有益な文献を多数入手することにより,合理的かつ有意義に支出する。
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