2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on juvenile criminal justice system based on "balanced and restorative justice system"
Project/Area Number |
26780039
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
津田 雅也 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80633643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 少年法 / 少年の刑事事件 / 刑事処分選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、アメリカにおける刑事処分選択を中心に研究を行い、文献調査・実地調査、成果発表について、下記の実績をあげた。 1.文献調査・実地調査 アメリカ少年法の教科書・ケースブック・論文を用いて、アメリカにおける少年事件の自動的移送制度について調査を行い、最近30年間の傾向として、自動的移送の導入・拡大が各州の傾向であることを明らかにした。また、メリーランド州ボルチモア市のCircuit Courtにおいて、移送制度を含む少年事件全般について、裁判官、コートクラーク、弁護士らから聞き取り調査を行ったほか、裁判傍聴を実施した。同州においては、自動的移送制度が置かれているものの、成人裁判所から少年裁判所に事件を移送し直す逆移送(reverse waiver)制度が置かれており、自動的移送対象事件においても、相当の割合の事件が少年裁判所に移送されていることが明らかとなった。 2.成果発表 上記の調査を踏まえて、「メリーランド州における少年事件の自動的移送制度について(一)」法政研究(静岡大学)22巻2号(2018年3月)1-16頁を公刊した。同論文においては、メリーランド州の移送制度の概要を述べ、上記の運用の実情を紹介した。とりわけ、逆移送率が2009年から2014年にかけて10%ほど上昇したこと、自動的移送の範囲を狭める改正案が州議会で検討されていることが注目されることを指摘した。また、同州の少年法の目的規定が1997年に改正され、「均衡のとれた修復的正義モデル」を踏まえた規定ぶりに変更されたことを立法資料を用いて明らかにし、上記のような自動的移送の運用が、同改正の影響を受けている可能性があることを示唆した。
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Research Products
(1 results)