2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26780044
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| Research Institution | Waseda University |
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Principal Investigator |
杉本 一敏 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30366984)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 自由に対する罪 / 刑事責任と自由意志 / 強制 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、（１）第一に、「自由に対する罪」の本質と適用範囲について、日本・ドイツの裁判例及び学説の議論状況を参照し、整理と考察を進めた（研究目的記載・検討課題①「自由に対する罪の成立範囲と種差」、検討課題②「強要罪の本質・成立範囲」の関係）。平成26年度は、強制わいせつ罪・占有移転罪・公務執行妨害罪について日本の裁判例を収集・分析し、各犯罪の成立範囲の異同について検討した。平成27年度は、強要罪に関するドイツの判例の動向、学説の展開について、その内容の把握と検討を試みた。その際、ドイツの強要罪理論（史）に現れる絶対的暴力と強制的暴力の概念（区別）の経緯及び理論的意義という点を、考察対象の中心に置いた。また、ドイツの強要罪をめぐる文献検討研究会を、鈴木優典氏（山梨学院大学法学部）との間で持った。
（２）第二に、刑法上の「責任」の前提として要求される「自由」の本質とは何か、という検討課題（研究目的に記載した検討課題③）との関連では、平成26年度、27年度の２年間にわたって、哲学分野における「自由（または責任）と決定論との関係」をめぐる「両立論」と「非両立論（自由論）」の代表的論者の議論を調査・参照した。そこから、哲学上問題とされている「自由意志」と刑事責任の前提とされる「責任＝自由」との関係、両分野の議論の接合可能性の有無について、一定の知見と（暫定的な）確信を得た。また、この点をめぐって、哲学上の両立論・非両立論の文献検討研究会を、三上正隆氏（愛知学院大学法学部）との間で持った。
（３）第三に、上記（２）で得た知見に基づき、刑法上問題となる保護法益としての「自由」（上記課題①②関連）、刑事責任の前提条件としての「自由」（上記課題③）の対抗概念である「強制」の本質とは何かについて、強制概念をめぐる刑法学上・哲学上の文献を参考にしながら考察を加えた。
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