2014 Fiscal Year Research-status Report
裁判員裁判時代における刑事再審手続の整備と再構築に関する実証的・比較法的検討
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26780045
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 准教授 (20432784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 刑事再審 / 再審請求手続 / 手続保障 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツにおける刑事再審手続の概要と現状について、通常の刑事手続の概要と現状との関係も意識しながら、文献調査及びインタビュー調査を行った。 具体的には、施設調査やドイツにおける実務を担当する法曹に対するインタビュー調査、さらに文献調査を行うことによって、ドイツにおける通常の刑事手続の構造や手続保障のあり方を再度確認した。そのうえで、当該通常手続と比較しながら、ドイツにおける刑事再審の請求手続の構造や手続保障のあり方の特徴、そして通常手続との比較した再審請求手続の意義を検討した。 その結果、ドイツにおいては、通常の刑事手続が弾劾構造をとる場合には、いわゆるフランスのファルサ型(類型的な手続きの誤りなどを再審理由とする制度)の再審がふさわしいとされ、また一定の糺問手続や職権主義構造の通常手続を採用する場合にはノヴァ型(新証拠の発見を再審理由とする制度)の再審がふさわしいとされていること、ドイツの再審請求手続の構造については現在も一定の議論がなされており、近年、刑事再審請求手続を確定判決を反対当事者とする民事訴訟手続と捉え、関連する具体的問題の解決を主張する見解が存在すること等が明らかとなった。 近年、日本においては、再審請求手続における証拠開示など、手続保障の充実を主張する見解も存在するが、再審請求手続の構造、そこでの裁判官や検察官、さらには再審請求人の地位を詳細に論じた見解は見られない。このことに鑑みれば、上記の研究成果は重要な意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、「独語文献等の分析や実地調査を行うことにより、ドイツにおける再審手続の性格や構造、さらには実務状況を把握したうえで、そこでの証拠開示との関連、理論的根拠と現状を把握する。その際には、通常公判手続や参審制度との関連についても配慮する。どのような証拠が開示され、あるいは開示されていないのか。開示されなかった場合の措置などの具体的な制度のあり方についても確認する。」というものであった。 ドイツに留学していたこともあり、インタビュー調査や文献調査などを踏まえ、ドイツに関する現状については一定程度把握することができたと考える。また、今後参考になると考える文献の文献もある程度達成することができた。 以上のことから、現在の研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ドイツの研究成果も踏まえながら、日本における再審請求手続における手続保障について、近年集中的に議論されている証拠開示を中心として研究を進める。具体的には、再審請求に取り組んでいる弁護団と連携したインタビュー調査など実証的研究を行うことに加え、近年の邦語文献も収集、分析していく。 これと並行して、ドイツにおける文献等の補充調査も行う。
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Causes of Carryover |
ドイツに留学中であったことから、日本製のPCを購入することが困難であったため、次年度に繰り越すこととしたため。一定の額は、次年度に購入予定であった書籍や機器の一部の購入に充てた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り、日本へ帰国したため、PCの購入に充てることとする。
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Remarks |
研究代表者の個人HPである。
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Research Products
(4 results)