2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration about the criminal retrial procedure
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26780045
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再審請求 / 刑事再審 / 証拠開示 / 主体性保障 / 公正な手続 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究の具体的内容 ドイツを中心とする比較法研究と日本に関する実証的研究及び理論研究を補充しながら、日本における再審手続の構造の把握とこれを踏まえた証拠開示手続のあり方について、最終的な検討を行った。 その成果としては、日本の現行実務を前提とした、再審請求手続における手続保障のあり方、特に証拠開示の保障のあり方とその論拠を検討できた点があげられる。日本の実務が前提とする職権主義構造においても、請求人の主体的関与や手続の公正性などを論拠として、再審請求手続における証拠開示を保障すべきとすることは十分可能であり、むしろあるべき姿というという結論を得た。これに加え、再審請求段階における証拠開示を十分に保障するためには、通常手続段階からの証拠や記録、情報の保全・保管の充実が必要であるところ、その法的整備を必要とする論拠・原理についても検討を加えることができた。具体的には、捜査機関を中心とする捜査手続の経過・結果は記録されるべきであること、さらに情報コントロール権などを根拠に、捜査により得られた証拠や情報、その記録の保管や処理などが法定されるべきとの結論を得た。 (2)本研究の意義・重要性 従来の研究は、やや抽象的な理念論(誤判の救済など)から、全面証拠開示論を導く見解、再審請求手続の職権主義構造を理由に証拠開示否定説を導くものが多かった。これに対し、本年度の本研究の成果は、実務の論理を、理論的観点だけでなく、実証研究も踏まえて把握し、これを前提として研究を進めた点に特徴がある。比較法的に見ても、日本の特徴を実証的に浮き彫りにした点も重要といえる。これに加え、証拠開示のあり方だけでなく、その前提としての証拠・情報などの保管・処理などについて検討する研究も、従来の研究と比べ特徴的であるといえる。以上のように、本研究の成果は、独自性・重要性を有するものといえる。
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