2014 Fiscal Year Research-status Report
クレジット・デリバティブ取引に対する保険法の適用可能性の可否
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26780061
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
嘉村 雄司 島根大学, 法文学部, 准教授 (90581059)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 保険の意義 / クレジット・デリバティブ取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第1に、クレジット・デリバティブ取引に保険法が適用されるか否か、第2に、クレジット・デリバティブ取引に保険法上の個別の法理・規定が類推適用されるか否か、を検討対象とするものである。平成26年度は、前者について、アメリカ法の議論を参考に研究を行った。 第1に、日本法の議論の現状を整理・分析した上で、日本法の問題点を明らかにした。すなわち、わが国において従来から主張されてきた有力説(損害てん補基準)や少数説(保険技術基準)には、理論的な限界があることを指摘した。その上で、クレジット・デリバティブ取引に対する保険法の適用可能性の可否の問題については、保険との法的異同だけではなく、クレジット・デリバティブ取引に保険法を適用する必要性が存在するか否かの検討も必要であることを明らかにした。 第2に、アメリカの議論を整理・分析を行った。クレジット・デリバティブ取引が誕生して以降、アメリカでは、とりわけニューヨーク州保険法・各種機関(NAICやISDA)・学説において、保険との異同が議論されてきた。それにもかかわらず、わが国では、このような議論について十分に認識されていたとは言い難い状況であった。そこで、本研究では、アメリカの議論をわが国の解釈論の参考とするための基礎的作業として、アメリカの議論の整理・分析を行った。 このうちの第1の研究についてはすでに成果を公表しており、第2については現在公表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、アメリカ法・日本法の調査・検討を進め、順調に研究成果を公表できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究の最終年度に当たることから、これまでの研究成果を生かして、日本法の解釈論を検討するとともに、今後の展望を探ることとしたい。従来どおりアメリカ法を参考にするほか、アメリカでの調査・資料収集も予定している。 なお、平成26年度においてもアメリカでの調査・資料収集を予定していたが、日程の都合から実施することができなかったことから、繰越研究費が生じている。平成27年度は、この繰越研究費を用いて、予定よりも長い期間、アメリカでの調査・資料収集を行うつもりである。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、日程の都合により、アメリカでの調査・資料収集を行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、繰越研究費を用いて、予定よりも長い期間、アメリカでの調査・資料収集を行うつもりである。
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