2015 Fiscal Year Research-status Report
知的創作物の流通円滑化のための法制度のあり方の研究
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26780072
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 健 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80456095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知的財産法 / 特許法 / 著作権法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、特許法、著作権法を中心に、数点の論文を公表することができた。 特許法においては、平成27年中に2件の最高裁判決が出され、その研究が喫緊の課題となっていた。プロダクト・バイ・プロセスクレームの最高裁については、すでに成果とした論文における分析を基礎としつつ、最高裁判決の射程と今後の課題を示す論稿を公表した。また、存続期間の延長登録の最高裁については、その判決前に、今後の取るべき方向性を含む基礎的な論文を公表することができた。これらについては、今後さらに議論の発展が見込まれるため、継続的な研究が必要である。また、昨年から開始していた進歩性要件についての研究を継続し、論文の形で公表することができた。これについても、今後さらに継続してより個別のテーマについての検討を進める予定である。 著作権法においては、著作権の取引の円滑化をキーワードに研究を継続した。権利制限規定の在り方に加え、拡大集中許諾制度、強制許諾性の研究を行っている。その成果の一部は、2016年3月に口頭発表することができた。今後論文の公刊に向けて研究を継続する予定である。また、新たなテーマとして著作物の類似性の研究にも着手し、成果の一部はすでに口答で発表した。これは昨年度取り組んで現在も継続している、二次創作の場面における権利制限規定の在り方の研究と表裏一体をなすものであり、有機的な関連を持たせた研究を行っていくこととなる。 このほか、本科研における特許法・著作権法における研究と、別の科研における研究とを架橋するグランド・デザインを示すべく、論稿を民商法雑誌に公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文を相当数公表することができ、研究計画は順調に推移している。もっとも、個別的な論稿も多く、創作物の流通に着目し、知的財産法制度全体の新たな理解を提示して再構築を目指すという本研究のそもそもの目的を果たしたというにはまだ道は遠い。よって、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
既に研究成果が一部で始めている個別のテーマを中心にさらに研究を進め個別の論稿を公表して区予定である。また、少なくとも著作権法については、全体を包括するような理論の提示ができる論文の公表を、28年度中に目指したい。特許法についても個別テーマを俯瞰する理論の構築を行い、最終年度までは論文の公刊を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、数万円程度であり、通常想定しうる揺らぎの範疇である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額なので、次年度に組み込んで一体的に利用する。
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Research Products
(8 results)