2014 Fiscal Year Research-status Report
日本における政治家の政治活動とキャリア形成に関する実証的研究
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26780078
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾野 嘉邦 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70598664)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本政治 / 国会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本における政治家のキャリア形成に関して、政治家が個人レベルで関与する各種の政治活動や行動に注目し、理論的・実証的に研究を行うことを目指している。
当該年度は、実証分析の基盤となるデータセットを構築するため、戦後日本における政治家の属性や経歴、選挙結果といった個人レベルのデータに加えて、彼らの政治活動に関するデータを収集・整理することに重点を置いた。政治活動について具体的には、国会において誰がどの委員会で質疑に参加し政府の答弁を引き出していたのか、誰が議員立法や質問趣意書を提出していたのかといった、国会における個々の政治家の活動について、議事録などの記録をもとにデータを集めた。さらに、政治家の活動に対する社会情勢や対外関係の影響について考慮するため、内閣支持率や失業率、日本が関与した国際紛争の数などの月別データも収集した。
また、国と地方の異なるレベルの政治家間の関係が、政治家のキャリアや活動、政策実現に与える影響について検証するため、福島県を除く東北地方の各県から無作為に複数の小選挙区(衆議院議員)を抽出し、その選挙区における市町村議会議員を対象とするサーヴェイを実施した。そのサーヴェイにおいては、それぞれの地域における市町村議会議員自身の各種活動について質問すると同時に、知事などの都道府県レベル・衆議院議員などの国レベルの政治家らとの関係性などについて質問した。サーヴェイ実施に当たっては、都道府県レベルにおいて同様の調査を行った研究者らから調査方法などについて聞き取りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集作業は順調に進んでおり、すでに収集・整理したデータの一部をもとに、政治家の経歴と政治活動の関連性について分析を行った。分析結果については、学会や研究会などで発表するとともに、論文として英文学術雑誌に投稿・掲載することができた。また、地方議員を対象とするサーヴェイについても、対象者の半数余りの1000人程度の議員から回答が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、引き続きデータを収集・補充するとともに、サーヴェイで得られたデータを分析可能な形に整理する。そしてその上で、データをもとに理論の検証を行う予定である。まずは、日本の政治家の政治活動について、冷戦後の国会審議に焦点を当てて、政治家らが国会の場において周辺諸国からの脅威にどう対応しているのかを検証し、年度内にその論文を英文学術雑誌に投稿することを目指す。地方政治家を対象とするサーヴェイのデータについては、分析作業に入ると同時に、集計結果について簡潔にまとめたものを公表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はインターネットを使用したデータ収集を優先させたため、当初の予定よりも旅費の支出が抑えられた。また、分析に使用するコンピュータとソフトウェア購入の予定を延期したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費は、データの整備のための事務作業、資料の購入、コンピュータとソフトウェアの購入、サーヴェイ参加者に対する調査結果資料の送付などに当てる予定である。
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Research Products
(4 results)