2014 Fiscal Year Research-status Report
規範的秩序構想としての憲法パトリオティズム――その論理的構造と政治的可能性――
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26780083
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
馬原 潤二 三重大学, 教育学部, 准教授 (40399051)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 憲法パトリオティズム / 政治理論 / リベラル・デモクラシー / 形式合理性 / 規範的秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は本研究の初年度にあたり、研究実施計画にもあるように、憲法パトリオティズムの理論的な全体像を再構成する作業をおこなうべく、主として研究上必要となる資料の収集および分析をおこなった。 さしあたり、国内の大学をはじめとする研究機関に赴いて資料調査を行い、次いでドイツに赴いて、ベルリン州立図書館およびフンボルト大学付属グリム兄弟センターなどで欧文論文などの資料を収集した。 そのうえで、憲法パトリオティズムの論理的構造およびその性質を明確にするべく、具体的には以下の二つの作業をおこなった。 ひとつは、憲法パトリオティズムが登場してきた背後関係を政治理論史的な観点から考察することによって、現代政治のコンテクストにおいてこの論理が有用とされる理由を確認することである。そのために、近代化によって「脱魔術化」(合理化)を図ってきたはずの政治的領域が「再魔術化」(非合理化)されつつある状況が出現していることを明らかにし、合理と非合理の双方に目配りした政治的パースペクティヴの必要性を、神話と神話的思考をキーワードとして検討した。それによって、憲法パトリオティズムのような形式合理的なロジックの必要性を弁証したが、その成果となる論文は平成27年度に刊行されることになっている。 もうひとつは、上記のような状況に対応しうるであろう憲法パトリオティズムのあり方を検討するために、合理と非合理の双方に開かれた人間像や社会像のあり方について考察し、そこから抽出される政治的秩序としての憲法観の輪郭を明確にすることである。そのため、主としてドイツの思想家であるカッシーラーやハーバーマスの議論を援用して、憲法パトリオティズムが前提としている人間や社会についての概念を整理した。その成果は平成27年度に行われる招待講演で発表することになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度科学研究費助成事業交付申請書に記載した平成26年度の研究実施計画については、予算の関係でホームページの作成を断念したほかは、ほぼ当初の予定通り実施している。 また、予備的な考察ではあるにせよ、本研究の基礎となる情報を盛り込んだ論文を執筆するとともに、本研究に関する報告もすでにスケジューリングされているなど、業績も一部すでに形になりつつある。なお、外国語文献の関連資料が当初の想定よりもかなり多かったこともあって、その分析に予想よりも多くの時間がかかっているが、これも研究のスケジュールを大幅に遅延させるほどの影響を及ぼすには至っていない。 以上から、平成26年度までの研究についてはおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、今までの成果を踏まえたうえで憲法パトリオティズムの理論的特徴と問題点をリベラル・ナショナリズムなどの他の政治理論との関係性のなかから検討する作業が必要となる。 そこで、ここで新たに必要となるであろう資料を国内外の研究機関などで収集するとともに分析する。その際、憲法パトリオティズムの議論が先行しているヨーロッパ(特にドイツ語圏)で、その実態や意識についての聞き取り調査などを行うことによって、より現実政治を意識した立体的な考察となるようにしたい。 また、他の政治理論研究者との意見交換の場を今まで以上に意識的に確保するため、学会や研究会への出席の機会を平成26年度よりも多く持つことにしたい。
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Causes of Carryover |
平成27年5月に中国人民大学にて成果報告(特別講義・招待講演)を行う予定となり、平成27年度の海外旅費を当初計画以上に捻出する必要が生じたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、平成27年5月17日から25日の日程で中国を訪問し、中国人民大学にて憲法パトリオティズムに関する特別講義および招待講演を行うことになっており、そのための海外出張経費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)