2017 Fiscal Year Annual Research Report
The political sociology of transformation in the gender order of post-war Japan
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26780085
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
辻 由希 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (40610481)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジェンダー / アベノミクス / 男性性 / 小池百合子 / 衆議院選挙 / 政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでの研究を論文にまとめ、公表することに尽力した。主な研究成果は次の2つである。 第一に、第2次安倍内閣以降に官邸主導で推進されてきたジェンダー関連政策について、「男性性」との関係から再検討するという、新しい視座を提示する論文を執筆し、海外の学会および日本の論壇誌で発表した。論文では、安倍内閣は女性労働力の拡大を日本経済の成長につなげるというウーマノミクス政策を推進してきたが、アベノミクスを訴える首相の言説を分析すると、実はそこに「男性性の回復」の物語が込められていることを指摘した。その上で、その男性性の物語を、現在の急速に変化する経済構造において国民から支持獲得をはかる政治指導者の言説戦略という観点から分析した。この成果の一部はスイス・ローザンヌで行われたヨーロッパ政治学会で報告し、またさらに分析を加えた成果を日本の論壇誌において発表した。 第二に、政党システムの変化をジェンダーの観点から分析するにあたり、東京都知事選、東京都議会選、衆議院選挙における小池百合子氏の行動と世論の反応の事例分析を行った。この成果は、ベルリンで行われた国際コロキウムで報告した。報告では政党間競争においてジェンダーの争点がどのように取り上げられたのか、それに好意的な反応があった都知事選、都議会選の構図を分析した後に、小池氏への批判が高まった衆議院選挙について政党内の意思決定システム(党内民主主義)と政党内・外のジェンダー平等の実現の関係性という観点から議論を行った。 また地方自治体におけるジェンダー関連政策の形成の実態について調査を行った。これについては引き続き調査と分析を行い、成果として公表するのは来年度以降になる予定である。
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Research Products
(3 results)