2017 Fiscal Year Annual Research Report
Presidential non-enforcement Power and the Separation of Powers in United States
Project/Area Number |
26780089
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梅川 健 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (40635033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ政治 / 大統領 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ大統領は憲法上、「法が誠実に執行されるよう監督する義務」を負う。ところが、現代の大統領は、署名時声明(signing statement)において法の不執行を宣言している。大統領は法律を必ずしも「誠実」には執行しないということが本研究の入り口であった。 調査を進める中で、本来は、議会の定めた法律を執行するための具体的な指示を行政組織に伝えるための命令、すなわち行政命令(executive order)や大統領覚書(presidential memorandum)によって、大統領が時には議会の意図に反するような指示を行政組織に通達していることが明らかになった。 それでは、大統領はそのような指示をどのように正当化しているのだろうか。署名時声明の場合、レーガン政権の法律家たちが法律論を用意していた。彼らは、それまで政権に加わったことのない保守的な法律家であり、大統領権限の様態を大きく変えた。そこで、行政命令や大統領覚書の運用についても、レーガン政権期の保守的法律家が役割を果たしている可能性があるのではないかと考え、レーガン大統領図書館での資料調査を行った。レーガン政権における大統領と行政組織との関係性の変化を示す資料を発見することができた。 また、トランプ大統領による行政命令と大統領覚書(「大統領令」はこれらの総称である)についても調査を行った。大きな混乱を引き起こしたことで知られる特定国家からの入国を一時的に禁止する行政命令については、司法省の法律家による法的審査が形式上のものにとどまるものであったことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)