2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780090
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河野 有理 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (50526465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政治小説 / 自由民権運動 / 末広鉄腸 / 福地桜痴 / 矢野龍渓 |
Outline of Annual Research Achievements |
政治小説の内容分析及び先行研究の整理を行うことができた。政治小説については草創期、流行期、衰退期という三つの時期区分を採用し、それぞれの代表的著作をとり上げて比較検討した。また、時期区分とは別に代表的な書き手として三人の人物――矢野龍渓、末広鉄腸、福地桜痴――をとり上げ、それぞれ先行研究および著作の検討を行った。このうち、矢野については信頼のおける全集が存在するものの、末広と福地についてはそうしたものが存在せず、信頼するに足る一次資料の収集に時間と資金の相当を割くことを余儀なくされた。 また、政治小説の文脈をなす自由民権運動についても、研究史の整理を行うことができた。末広や福地についての研究進行の難点が「先行研究の過少」にあったとすれば、こちらの難所は「先行研究の過剰」であった。膨大に存在する先行研究の海に飲み込まれないために意識した点は以下の二点であった。一点目は、いわば「先行研究の思想史」の必要であった。各時代の研究は、多かれ少なかれ、そして善かれ悪しかれ、その時代の超学問的動機に規定されている。そうしたバイアスを精緻に検討するということをしなければ、汗牛充棟の文献も、宝の持ち腐れになってしまう。そのことは、実際に分析を進めていくなかで、実感させられることになった。二点目は、独自の見取り図の必要であった。本研究では、政党を中心とする権力核の形成に関する動きと、地方をも含む政治文化の拡大普及の動きとを分けた上で、その両者の相互関係を意識するという視角を採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、読者研究と諸外国との比較研究が思うようには進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
読者研究を中心とした受容研究と、諸外国の政治小説(political fiction)との比較研究を進めていく予定である。 また、政治小説を自由民権運動の一方の核である政治文化の中に理論的に位置づけるべく、先行研究の整理とサーベイを行っていく。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 「天」をめぐって:加藤弘之と福澤諭吉2014
Author(s)
河野有理
Organizer
Maruyama Masao and the East Asian Thoughts: Modernity, Democracy and Confucianism
Place of Presentation
Asan Institute, Seoul, Korea
Year and Date
2014-07-23 – 2014-07-24
Invited
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