2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780090
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河野 有理 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (50526465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 福地桜痴 / 東京日日新聞 / 岸田吟香 / 郵便報知新聞 / 朝野新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、内容分析及び先行研究の整理を行った矢野龍渓、末広鉄腸、福地桜痴のうち、今年度は特に福地桜痴に時間を費やすことになった。その理由は主に二つである。 第一に、資料収集整理の必要である。福地については、矢野と異なり、信頼に足る全集が存在しない。また、末広とは異なり、包括的な研究書もほぼ存在しない。これは矢野や末広に比べて福地が研究史上重要ではないからでは全くないにも関わらず、そうなのである。したがって、福地に関して上記作業の学術的貢献度は極めて高い。 第二に、前記とも関連するが、福地桜痴が政治小説研究上にしめる重要性の高さである。このジャンルの典型的な作品を提供してきたという点では矢野や末広は重要であり、従来の先行研究においてもその点は強調されてきた。これに対し、福地の政治小説の多くは、いわば「メタ政治小説」とも言うべき、ジャンル自体に対する反省的視点が作中に埋め込まれている。福地の政治小説は、それ自体がいわば「政治小説論」とも言えるものであり、その作品を戦略的な管制高地として用いる必要性は高い。 他方、福地の言論活動は、政治小説に尽きるものではない。福地において政治小説が何であったのかを考えるに際しても、福地の他の言論活動を見過ごすことはできない。今年度はとりわけ、彼が担当した東京日日新聞の社説に焦点を絞り、福地の言論活動の変遷を追跡した。同時代の政治を福地がどのように観察していたのかをうかがうほぼ唯一にして第一級の資料である同紙を、また併せて郵便報知や朝野新聞といった同時代の他紙を比較のために用いつつ、彼の「政治」観を再構成していく作業を現在進行形で進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も、やはり同時代の英語圏におけるpolitical fictionの隆盛については、十分なサーベイを行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、福地についての研究を進めていくとともに、同時代のpolitical fictionまた、梁啓超等を通して中国大陸に輸出されていくジャンルとしての政治小説という視角の有効性を検証する作業を進めたい。
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Research Products
(4 results)