2015 Fiscal Year Research-status Report
現代民主主義論における規範性の再定位―自由主義思想を手掛かりとして
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26780093
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 圭 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (90720798)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | デモクラシー / 基礎づけ主義 / プラグマティズム / 革命 / 規範 / エルネスト・ラクラウ / シャンタル・ムフ / リチャード・ローティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、しばしば規範を欠いていると批判されるラディカル・デモクラシー論に、本質主義的ではない仕方で、規範的次元を担保する仕方を解明することにある。本年度は、プラグマティズムとりわけリチャード・ローティのネオ・プラグマティズムとポスト・マルクス主義の方法論を対比的に検討した。両者は伝統的で本質主義的な諸観念を批判する点で近い立場にあると言えるが、規範に関して言えば、前者が反-基礎づけ主義的な態度をとるのに対し、後者がポスト基礎づけ主義的な態度を取っていることを指摘した。そして前者が逆説的にも本質主義にふたたび陥ってしまう傾向にあり、きわめてナイーブな現状肯定に居直ってしまうのに対し、後者の立場が継続的な政治的作為を約束しうるものであることを解明し、論文を執筆した。 また日本政治学会研究大会ではポスト・マルクス主義における革命概念について報告した。すなわち、ポスト・マルクス主義の革命論は、かつてのように大文字の解放や透明な社会を目指すといったものではなく、むしろ社会の不透明性や権力関係を背景にしたものであると論じ、討論者やフロアからフィードバックを得ることができた。 また昨年度に引き続き「ポスト基礎づけ主義と規範の行方」研究会を複数回行い、メンバー間で有意義な討論を行った。社会思想史学会大会では当該研究会よりセッションを企画し、研究代表者も討論者として登壇した。フロアの参加者は多く、質疑応答を含め、活発な議論をすることができた。 2016年5月には、本研究の成果の一部として『不審者のデモクラシー:ラクラウの政治思想』を岩波書店から刊行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に成果を出せているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は国際会議や海外の学会に参加し、海外の研究者と意見交換ができればと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は論文執筆に集中したため、必要最小限の文献収集で済ませたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外の学会などに積極的に参加し、研究成果を発表していきたい。
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Research Products
(5 results)