2016 Fiscal Year Research-status Report
現代民主主義論における規範性の再定位―自由主義思想を手掛かりとして
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26780093
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 圭 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (90720798)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 民主主義 / ラディカル・デモクラシー / 規範 / ポピュリズム / 基礎づけ主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ポピュリズムが規範がどのような関係にあるのかを集中的に検討した。これまでの研究で、ポピュリズムには民主主義的な効用ともいうべき、民主主義に有利な側面があることが明らかになっていた。しかし今日、欧州やその他の地域において、極右勢力や排外主義がポピュリズム的な手法で人々の支持を集めていることから、ポピュリズムの規範的内容に厳しい声が様々な方面からあがっている。このような研究動向に対し、ポピュリズムが民主主義を退廃させるのかどうか、それが民主主義の深化に与するのはいかなる場合か、などについての理解が重要となる。本年は精神分析理論の知見、とりわけラカン派精神分析が提起する「享楽」という概念を手掛かりに、この問いに取り組むことができた。
また本年度は、これまでの研究成果を単著としてまとめ、『不審者のデモクラシー:ラクラウの政治思想』(岩波書店, 2016)として刊行した。また本書を中心にした合評会がいくつか開催され、参加者と有意義な討論をすることができ、それにより、本研究の意義と課題を確認することができたたことは僥倖であった。さらに昨年度に引き続き「ポスト基礎づけ主義と規範の行方」研究会を複数回行い、メンバー間で有意義な討論を行った。社会思想史学会大会では当該研究会よりセッションを企画し、フロアの参加者の方々と活発な議論をすることができた。現在、本研究会の成果を刊行すべく準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
排外主義とデモクラシーの関係について引き続き、問われる必要がある。
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Causes of Carryover |
研究実施場所が移動したため予定が変更された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張費および研究成果の刊行に向けた打ち合わせ経費を予定。
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Research Products
(3 results)