2016 Fiscal Year Research-status Report
政策評価情報の利用と影響―政府内外の多元的主体による関与の視点から
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26780094
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
益田 直子 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (40725462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 評価の利用 / 評価の影響 / 評価政策 / 評価文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、評価情報の利用・影響に関して、(1)代表的先行研究の整理、(2)日本を対象とした実証研究の実施、(3)国際比較研究の3つを内容としている。 本年度は、(2)及び(3)に関連する調査結果の一つとして、評価活動に関するネットワークの働きに焦点を当てた、「評価政策と評価文化の相互作用」『評価クォータリー』を2016年7月に発表した。具体的には、評価政策を国際比較した先行研究と、評価文化の成熟度を国際比較した先行研究を利用しながら、日本は評価政策については高く評価されているが、評価文化の成熟度についてはまだ課題があることを確認した。そして評価政策と評価文化は相互作用の過程である、という先行研究の指摘を踏まえ、日本における評価文化の成熟度を向上させる方策を探るため、アメリカの評価学会が設立した評価政策作業部会を舞台としたネットワークに着目し、その活動の働きを調べた。調査に当たり、2013年から2015年度までの間に参加をした同部会会合での議論の内容とともに、インタビューを行った。また、行政府や立法府に与えた影響の有無とその内容を明らかにするために、米国政府が公表する報告書などを確認した。その結果、同部会は評価政策と評価文化の相互作用を促進する役割として機能していることを明らかにした。このことは今後、日本における同種の機能の有無と現在の評価制度のあり方との関連を考える上で、有益であると考える。 また、(2)に関連する調査活動として、事例としてとり上げる政策評価書を特定し、立法府及び行政府の関係者へのインタビューを進めている。また、調査の一環として、過去20年分の『職員録』から衆議院・参議院職員数のデータベースを作成し、分析を進めている。 そして、次年度の計画で予定されている学会・研究会発表(海外・国内)の両方を実現できるよう、現在、応募等の手続きを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「1.研究実績の概要」にある通り、(2)および(3)に関連する調査の一部を終えることができたものの、(2)の中心を成す立法府及び行政府の関係者へのインタビューは想定していたよりも進捗が遅れている。その理由は、初めて調査を依頼する組織に対しては、面談を重ね信頼関係を築きながらインタビューでお話を伺うという方法を採る必要があり、結果的に時間を要した。また、インタビューのためには平日にある程度の時間を用意する必要があり、多忙な状況ではそのための時間を設定することが難しいことも度々あったことも進捗の遅れに影響をしている。但し、インタビューの手続きを丁寧に進めることにより、文献のみでは知ることの出来ない事項に関する理解が深まり、研究の方向性を適切なものに修正しつつあると考えている。 一方、(1)については、執筆を進めており、先行研究の整理の大枠は出来ているが、細部を詰めるのに時間を要している。(3)国際比較研究に本格的に着手できるようにするためにも、(1)と(2)を速やかに進める必要があると考えている。来年度は本年度以上に研究時間の確保に努めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「2.現在までの進捗状況」にある通り、引き続き研究時間の確保に努めるとともに、限られた研究時間を効率的に活かしてゆきたいと考えている。後者の効率的な研究運営については、本年度はいくつかの取組を行った。例えば、上述の通り、①研究事例としての政策評価書の選定作業、②『職員録』のデータ入力、③インタビュー記録の作成作業の一部(文字起こし)を研究協力者等に依頼し、協力して頂いた。本年度も協力を得られる部分については力を借りるとともに、思考し分析するためのまとまった時間をつくり、実際の執筆作業ができる体制を整えていくように努める。
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Causes of Carryover |
本年度の当初計画では研究成果発表及び資料収集の為にアメリカ評価学会に参加をするための旅費を計上していた。しかし、本年度の学会のセッションの中に本研究と密接に関わるものを見つけることができず、また、研究の進捗状況を考慮して研究成果を発表できる段階にないと判断し、参加を見送った。予算項目の中で外国旅費の割合が高く、それが未使用額に影響することになったと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度にアメリカ評価学会に参加をするための手続きを既に進めていることから、外国旅費としての支出がある予定である。また、そのための準備として、英文で作成をした論文や発表原稿などの英文校正や、実地調査におけるインタビュー記録作成の補助業務などに費用を要することから、未使用額を有効に利用できるものと考えている。
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Research Products
(1 results)