2014 Fiscal Year Research-status Report
熟議デモクラシーの包括的構想の解明――J・ハーバーマスの「法」・政治理論
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26780095
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田畑 真一 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (90634767)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランクフルト学派 / ユルゲン・ハーバーマス / 熟議民主主義 / 批判理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、8月から翌年の3月まで、フランクフルト大学に客員研究員として長期滞在し、研究を進めた。フランクフルト大学は、フランクフルト学派の拠点であり、ユルゲン・ハーバーマスも在籍していた大学であることから、関連資料も揃っており、充実した研究環境の下で研究を進めることができた。 受入教授は、批判理論を政治理論の分野で展開しているライナー・フォアスト教授で、教授が開催しているコロキウムや毎月行われている若手研究者による報告会への参加、そして時折訪れる著名な研究者の公演への出席を通じて、充実した研究生活を送ることができた。現在の批判理論、そして政治理論の理論動向に直接触れる機会となり、今後研究の方向性を定めるために重要な知見を得ることができた点で、貴重な体験であった。 その成果は、今年度提出したハーバーマスの政治理論についての博士論文に生かされた。博士論文は、ハーバーマスの政治理論を法概念理解、理由論という観点から捉え直すものであり、その検討においてフランクフルト大学にある充実した研究資料が役立った。提出した博士論文に対しては、2015年度2月も早稲田大学より正式に博士号が授与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは異なり、フランクフルト大学に長期に研究滞在したため、(博士論文を除き、)当初予定していた論文の投稿等の研究成果をあげることはできなかった。 しかし、この滞在により当初2年目に予定していた研究内容についても踏み込んだ検討を行うことができ、その点では確実に研究は前進したと言える。具体的には、これまでのハーバーマスについての研究を博士論文としてまとめることができた。 今後これから長期滞在中に蓄えた知見を論文投稿等を通じて発表していくことで、具体的に研究成果を出すことができると考えられ、研究滞在で予定より研究が進んだ分を考慮すれば、概ね研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、フランクフルト大学滞在中に蓄えた知見を学会報告と論文投稿を通じて発表していく。また、それと同時にハーバーマス以降のフランクフルト学派の理論展開を検討することで、批判理論という観点から熟議民主主義論に取り組んでいく。 今後は今までのところ具体的な研究成果を示すことができていない状況を鑑み、研究会、および学会での報告を積極的に行い、最終的に論文の投稿へとつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
8月から3月まで在外研究でドイツにいたため、当初考えていたほど日本語図書を購入することができなかった。当初より購入予定の図書があり、その図書を翌年度繰り越された予算を用いて購入していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初より購入を予定しており、在外研究で国内にいなかったため購入できなかった日本語の図書を購入予定である。
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