2015 Fiscal Year Research-status Report
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26780104
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大西 富士夫 日本大学, 国際関係学部, 助教 (20542278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 北極科学委員会 / 北極協調体制 / 北極秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、冷戦期から現在に至るまでの北極海における地域秩序の形成と発展の過程を5段階に区分し、北極海をめぐる国際政治の動態を総合的に明らかにすることである。当該年度は、北極秩序の起源(第1 段階)及び初期の形成過程(第2 段階)に焦点を合わせ、ホッキョクグマ保全条約、北極科学委員会、北極環境保護戦略、北極評議会の立上げ時期における準備会合議事録、閣僚会合議事録等の原典資料の収集・調査を実施した。また、北極圏諸国及び非北極圏諸国の北極外交の最新動向についても情報収集・分析を行った。 特に、北極科学委員会の設立時に携わった当事者から当時の資料を入手することにより、同委員会の設立当時の科学者のネットワークと米国政府との関係、また、北極諸国が5か国から8か国へと拡大する認識が北極科学委員会の設立過程において形成されたことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北極科学委員会に関する資料収集は順調に進んだが、ホッキョクグマ保全条約に関する資料が乏しいことが判明した。ホッキョクグマの保全に詳しい自然科学分野の専門家等に意見を求めながら、引き続き、ホッキョクグマ保全条約に関する情報集めを継続することで対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、第1段階の北極秩序の起源、第2段階の期の形成過程、そして(初年度に実施した)第5段階までの調査を実施してきた。今後は、第3段階の北極5か国体制の復活と第4段階における北極8か国体制が同5か国体制の挑戦を退ける過程についての実証研究を進める。 以上を中心的な研究内容とするが、これらと並行する形で、北極国際政治の最新動向の把握のため、情報収集やセミナー並びにシンポジウムなどに参加する。また、平成27年度に資料集が必ずしも十分に進まなかったホッキョクグマ保全条約に関する文献についても適宜資料収集を進めることとする。
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Causes of Carryover |
当初、北極科学委員会事務局(ポツダム)へ同委員会に関する資料収集のための現地調査を予定していたが、北極科学委員会が主催する北極科学サミット・ウィークが2015年4月に富山で開催され、その期間中に北極科学委員会の関係者と直接コンタクトが取れ、資料の一部を入手できたこと、また、その他の資料も2015年度に順次インターネット上に公開され手利用できるようになったため、現地調査の必要性がなくなり、当初予定していた現地調査の費用が掛からなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏季休暇中に第4段階についての現地調査を実施する。具体的には、北極評議会の事務局や、北極海海上捜索救助協定ならびに北極油濁汚染防止協定等の交渉担当者へのヒアリング調査を実施する。加えて、冬期休暇中には、第3段階についてカナダ並びにデンマークの北極政策担当者にコンタクトを取り、ホッキョク5か国体制の復活に関するヒアリングを行うこととする。 また必要に応じて、ホッキョクグマ保全条約に関する資料集ならびに北極国際政治の最新動向に関する情報収集及び資料収集にも使用することとする。
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Research Products
(23 results)
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[Book] Asian Countries and the Arctic Future2015
Author(s)
Oran R Young, YANG Jian, Olav Schram Stokke, Jo Inge Bekkevold, Cheng Baozhi, Arild Moe, Zou Leilei, Huang Shuolin, Njord Wegge, Fujio Ohnishi, Uttam Sinha, Chen Gang, Zhang Pei, Gong Keyu, Jong-Deog Kim, Iselin Stensdal
Total Pages
312 (171-182)
Publisher
World Scientific Publishing
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[Book] Arctic Yearbook2015
Author(s)
Fran Ulmer, Lassi Heininen, Heather Exner-Pirot, Irina Barakaeva, Natalia Batugina, Vladimir Gavrilov, Leah Beveridge, Mélanie Fournier, Ronald Pelot, Adrienne M. Davidson, Erica Dingman, Marc Jacobsen, Thierry Rodon, Aude Therrien, Heidi Tiainen, Rauno Sairinen, Fujio Ohnishi他
Total Pages
454(410-411)
Publisher
Northern Research Forum
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