2017 Fiscal Year Annual Research Report
Japan and International Politics in East Asia 1895-1910
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26780110
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
片山 慶隆 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (40436746)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日露戦争 / 日英同盟 / 国際認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日露戦争期のメディアに関する研究が進展し、いくつかの研究成果を発表することができた。まず「戦争とメディア」に関する特集で、日露戦争前史にあたる義和団戦争期における日本の新聞メディアの反応を「義和団戦争と新聞報道―『二六新報』を中心に―」(『歴史評論』第811号、2017年11月)に発表することができた。 また、日露戦争については、日露戦争を叙述した戦記文学の傑作『此一戦』の著者にして、後に「反戦大佐」として知られることになる水野広徳について、『近代日本メディア人物誌―ジャーナリスト編』(ミネルヴァ書房、2018年1月)所収の論稿「水野広徳―兵は凶器なり」で、その生涯を描いた。 さらに、日露戦争時の軍人で旅順攻略戦を指揮したことで知られる乃木希典の妻・静子について、出版メディアを史料として用い、その神格化と忘却過程を分析した「『軍神の妻』の神格化と忘却―乃木静子とメディア― 」(『歴史学研究』第959号、2017年7月)を発表した。 研究期間全体を通じて振り返ってみると、後半期は外交史の研究が計画通りにいかなかったものの、メディア史の研究は学会誌などに定期的に成果を発表することができたのは収穫であった。日英同盟の重要さは誰もが認めているが、日露戦争期における日英の対韓政策については、これまであまり注目されてこなかった。しかし、この間の日英の協調と対立を明らかにしたことは、日韓関係史だけでなく、同盟史研究の観点からも意義深いと考えられる。また、当該期における日本のメディアによる韓国・アメリカ・フランスといった外国に対する認識や国際認識を検討したことは、国際的地位が向上していく中で、日本がどのように世界を捉えていたかを明らかにした意義があると思われる。
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