2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Dynamic Analysis of Matching Markets and Applications
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26780115
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河崎 亮 東京工業大学, 工学院, 准教授 (20579619)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マッチング / 戦略形ゲーム / タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,マッチング問題を戦略形ゲームを用いた分析を進めた.従来のマッチング理論に関する研究は協力ゲーム理論による分析が多いが,戦略形ゲームを用いる最大の利点としては,プレイヤーの行動をより詳しくモデル化できる点にある.当初は,交渉ゲームを用いた分析を行う予定であった.特に,先行研究の文献では,企業と労働者との交渉ゲームとしてモデル化されている,本研究でも企業がオファーを自由に決められるモデルとして定式化した.今回の研究の焦点はこのオファーのタイミングについての分析のため,この部分にフォーカスしたモデルとしてボトルネックゲームの分析にシフトした.ボトルネックゲームとは,交通の分野では各プレイヤーが出発時刻を選択するゲームである.本研究課題もタイミングの問題を分析するといった共通点がある.
このボトルネックゲームの特徴として,ナッシュ均衡が存在しにくいことが挙げられる.特に,全てのプレイヤーが同じ利得構造を持っている場合でもナッシュ均衡の存在性は依然と保証できないが,より強い均衡概念である強ナッシュ均衡とナッシュ均衡が一致することがわかり,ナッシュ均衡の非存在性の一つの要因であると考えられる.
このモデルの特殊ケースとして人々にとって出発したい最適時間があるようなモデルを仮定した.さらにプレイヤーが同じ利得構造をしている場合,ナッシュ均衡が存在し,各プレイヤーが最適時間より早く出発する傾向があり,青田買いと似ている性質である.すなわち,各プレイヤーにとって一番好ましい出発時刻が存在するが,他のプレイヤーが先に出発することにより混雑が発生し,時間による選好と混雑のトレードオフの結果,出発時刻を早めざるを得ない状況になっている.今後の方向性として時間が連続の場合を扱い,さらに分析を進めることである.
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