2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780138
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
森岡 涼子 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (90415323)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業連関表 / 構造分解 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業連関表は作表コストが高く、発行に5年以上を要している。また、災害等の時期をまたいだデータの推計・補正は複雑で、これまでとは異なるデータも活用して作表できるようにするためのシステマティックな手法が必要となっている。 本研究は、産業連関表を構造分解し、分解値の各々に異種データを取り込むことで、これまで推定の困難だった年や将来の推計を実現しようとするものである。初年度は、手法の開発・改良およびテストデータへの適用を行った。 本研究で用いる構造分解法は、産業連関表を各産業規模と産業構造に直交分解する。この分解において負の値は対象外とされていたが、負の値にも対応した手法に改良することで、分解精度を上げることができた。さらに、分解値の1つである各産業規模をさらに分解し、投入および産出の産業シェアと各産業変化のマーケット全体に対する拡散のしやすさに細分化した。また、これまで1枚の産業連関表を構造分解していたが、時系列データの分解へと拡張した。1990年から2005年までの日本産業連関表に提案法を適用し、現在実用面での評価を行っている。 本手法は、上記実用面での改良のほかに、産業連関表の研究において2つの問題を解決している。1つ目は構造分解の計算手順が内包していた問題に関する改良である。これまでの構造分解では、分解の過程で投入・産出に関する基本方程式を満たさない項が生じていたが、提案法では、すべての項が基本方程式を満たすように改良され、構造分解が求めようとする2つの年の経済を結ぶ平均経路をよりよく近似している。 2つ目は、産業構造に着目する際に投入係数構造しか選べなかったことに対し、選択肢を増やしたことである。これまで産出方向の構造は着目できなかったが、投入・産出を一度に見るための非線形変換の分解を行うことにより、2次元の産業連関表が持つ2つの方向の情報を落とさずに結果を得られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画していた手法開発を終了し、データ解析のステップに移行することができたため、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に開発した手法を用いて産業連関表将来推計を行う。JIPデータベースの産業連関表への適用を予定していたが、時系列の途中で推計法が変更されており、手法の精度の吟味には使用できない可能性が高いため、他の接続産業連関表および環境データを組み合わせてデータ解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
データ購入を予定していたが、データ調査に時間を要したため、3月までに支出することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データに関する調査終了次第速やかに支出する。
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Research Products
(2 results)