2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26780138
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
森岡 涼子 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (90415323)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境産業連関分析 / 構造分解 / ノンサーベイアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、開発したノンサーベイ法を構造分解分析に応用し、従来法で扱うことの難しかった負の値も含めた定式化を行った。1990年から2005年の温室効果ガス排出量および接続産業連関表のデータに、拡張した手法を適用し、前方連関および後方連関が温室効果ガス排出量増加を押し上げる効果を初めて定量化した。その結果、生産プロセスの上流への波及は、15年間、カーボンインテンシブな方向に動いていることを明らかにした。温室効果ガス排出量削減には、最終需要の縮小が有効とされるが、それは経済規模の縮小を意味し現実的ではない。本研究では、需要と供給を一切変えずに技術構造をのみを変えるシミュレーションを行い、最終需要および中間需要計を保ったまま温室効果ガスが数パーセント減少するという取引額表を提示した。また、ノンサーベイ法による産業連関表推計の応用のためのソフトウェア普及の一環として、東日本大震災後における47都道府県間産業連関表の作成を遂行していた、京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー環境学研究室 山下裕也氏らへプログラムの提供を行った。 研究期間全体を通じて、実施したことは大きく2つある。1つ目は、正値のみを対象としてた産業連関表の直交分解法を元に、負値に対応した構造分解分析法に拡張したことである。これにより構造分解の精度が1桁上がり、小数点第4位まで近似できるように改善することができた。2つ目は、開発手法を温室効果ガス排出量データに適用し、経済規模縮小を伴わない排出削減の実現パスがあることを示したことである。ノンサーベイ法としての将来推計への応用だけでなく、環境対策と経済政策を両立するための金額ベースのゴールの設定にも、開発した手法は有用であることを示した。
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Research Products
(1 results)