2014 Fiscal Year Research-status Report
規制緩和と生産性成長:先進的産業動学モデルによる定量的政策評価
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26780147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村尾 徹士 九州大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (00645004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産業動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2つのプロジェクトを進めた.第1のプロジェクトでは,Ericson-Pakes流のマルコフ完全産業動学モデルが,現実経済で観察される企業サイズ分布のべき乗則を再現可能であるか検討した.その結果,べき乗則を再現するためには財の質の減耗確率や投資コストが十分大きな値を取ることが必要であることが分かった.この成果は国際会議(Distributed Computing and Artificial Intelligence, 11th International Conference)の特別セッション(Special session on Multi-Agent Macroeconomics)にて報告され, [1] Murao(2014)として査読付き国際学術誌に公刊された.第2のプロジェクトでは,企業規模分布が内生的に生じる内生的成長モデルを用いて参入規制緩和が生産性成長率に与える影響について実証的に検討した([2] Murao and Nirei, 2014).その結果,参入規制緩和が既存研究で着目されてきた2つの再配分チャネルに逆向きの影響を与えることを明らかにした.この成果は査読付き国際学会(Royal Economic Society)の年次大会にて報告された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目のプロジェクトの成果は国際学術誌に掲載され,2つ目のプロジェクトも査読付きの国際学会にて報告されるなど,具体的な成果が得られた.以上からおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
第1のプロジェクトについては企業レベルのデータを用いた実証研究を進めていく予定である.第2のプロジェクトについては,モデルの構造推計とシミュレーション結果は出揃ったので,今後は解の存在と一意性などの理論的性質を解析的に明らかにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
ワークステーションの購入を計画していたが次年度に延期した.これはGPUの性能進化と価格低下が当初予測していたよりも急速に進んだためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に予定していたワークステーションの購入を次年度に行う.
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