2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26780154
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大木 良子 法政大学, 経営学部, 准教授 (20612493)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オンライン流通 / 競争政策 / 多面的プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オンライン化した流通に対する新しい競争政策のありかたを示すことを目的としている。2015年度は、オンライン化した流通を生産者と消費者の間の間接ネットワーク効果を実現する「多面的プラットフォーム」と捉え、以下の2つの成果を得た。第一に、オンライン化した流通業と従来型流通業との競争における違いについて既存研究を整理し、競争政策上の留意点を明らかにした。加えて合併に伴う影響を従来型流通と比較して考察した。これは、公正取引委員会での共同研究成果(2015年12月に競争政策研究センターディスカッションペーパーとして公表)の1章として公開されている。 第二に、多面的プラットフォームとしての流通業者と生産者との間の排他的取引契約が、流通業者間の競争に与える影響について、新しい理論モデルを構築した。そこでは排他的取引契約によって生産者が流通業者に対する交渉力を確保するメカニズムを明らかにした。この論文は、2015年11月の日本応用経済学会での報告を始め、2つの大学での研究セミナーで報告し、2016年4月には共著者による国際学会での報告を行った。さらに2つの国内外の学会で報告することが決まっている。 上記二点に加え、前年度からの継続的な課題として、マーケットプレイスや販売代理店的な流通業者の価格設定が新規参入を排除する可能性とそのメカニズムについて、JASRAC事件を題材に法学者と連携した事例研究の執筆を完了している。これは2016年内に発行予定の書籍の1章となる。 以上の研究成果から、多面的プラットフォームとしてのオンライン流通について、企業間のより詳細な意思決定を考察する枠組みを整理し、構築することができた。また流通業者が用いる契約形態が、流通業者の新規参入に影響を与えることを示すことができた。これらは今後、多面的プラットフォーム研究を継続する上で重要な基礎となる。
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