2014 Fiscal Year Research-status Report
実質為替レート変動の要因と為替制度との関係 ―東アジア諸国のデータを用いる分析―
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26780156
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
VU TuanKhai 明星大学, 経済学部, 准教授 (80552603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Real exchange rate / Exchange rate regime / VAR / sign restriction / East Asia |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、実質為替レート変動(RER)の要因が異なるタイプの為替制度においてどう異なるかという問いを取り上げ、実証的に分析することである。その際に、ここ数十年間ドルペッグ制や変動相場制といった異なる為替制度を採用してきた韓国とタイのケースに着目し、そのデータを用いる。RER変動の要因を、総供給ショック、総需要ショック、貨幣的ショックといったファンダメンタルズの変化を反映するもの、及びそうでない為替レート特殊ショックに分解し、符号制約VARを用いて識別する。 26年度には、VARモデルを推計し、分析した。得られた主要な結果は次の通りである。ペッグ制と比べ、変動相場制の下ではRER変動における為替レート特殊ショックの寄与度がよりかなり高くなる。また、RER変動において最も重要な要因は総需要ショックである。これらの結果より、為替制度設計の際に政策当局は、ファンダメンタルズのショックへの調整のために為替レートの伸縮性を確保することと、為替レート特殊ショックによって引き起こされる為替レートの望ましくない変動を制限することの間のトレードオフに直面することが示唆される。 本研究の結果を”Exchange Rate Regimes and the Sources of Real Exchange Rate Fluctuations: Evidence from East Asia”と題する英語論文にまとめ、the 14th International Convention of the East Asian Economic Association (2014年10月), 及び the 11th International Conference of the Western Economic Association International (2015年1月)で報告した。論文の最新版が明星大学経済学研究科ディスカッションペーパーNo.31として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた内容の研究について、科学研究助成費を申請した段階でデータの収集やVARモデル推計プログラムの作成など幾つかの重要な作業を行った。そのために、研究課題が採択された後、これらの作業の結果をもとに当初の研究計画通りにさらなる研究をスムーズに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは韓国とタイのケースを分析してきたが、分析対象を広げるためこれらの2か国と同様にここ数十年異なる為替制度を採用した東アジアの他の国についてデータが入手可能か否かを検討する。また、現段階では、実質為替レートのボラティリティと実質為替レート変動における為替レート特殊ショックの寄与度の間に正の相関を発見したが、今後データが入手可能なOECD加盟国などのケースについても分析し、この相関関係を検証する。 27年度にはこれらの方向で研究を進める過程において得られる新しい結果を執筆した論文に追加し、国際学会などで報告し、得られるコメントを活し、年度半ばに国際的学術誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
26年度に物品費が当初の計画よりも支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額44,690円を書籍などの物品購入に充てる予定である。
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