2015 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギー普及に対する地方自治体の政策の定量的評価
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26780159
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
花田 真一 金沢星稜大学, 経済学部, 講師 (90636458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地方自治体の政策評価 / 環境政策の評価 / 需要関数の推定 / 太陽光発電 / 風力発電 / 政策間の関連の分析 / 政策の経済評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2015年度は、現在入手済みのデータベースの拡張と、拡張したデータベースを使った政策間の関連性の分析を行った。 データベースの拡張としては、大型風力発電についてのデータを補完した。これにより、自治体による風力発電の設置と、風力発電設備の存在が太陽光発電普及・地方自治体による普及政策の効果拡大との関連性の分析が可能となった。 分析の結果、①大型風力発電の存在が、住宅用太陽光発電の導入量を増加すること②大型風力発電の存在する地方自治体では住宅用太陽光発電の価格弾力性が低下すること③大型風力発電の存在は地方自治体による補助金政策の効果には影響しないこと④大型風力発電の設置主体が地方自治体か否かによって普及の効果は変化していないこと、の4点が示された。 1点めについては、需要関数を推定したところ、風力発電の存在の有無の係数が正で有意となり、他の条件を一定として、約22%太陽光発電の普及が促進されることが推定された。2つめの点については、大型風力発電の存在の有無で価格弾力性に差を許容する形で需要関数を推定したところ、交差項の係数が正で有意になった。価格弾力性は一般的には負になるため、正で有意な結果は価格弾力性が低下する、つまり消費者が価格に非反応的になることを意味している。風力発電の存在により価格弾力性が約4割低下しており、太陽光発電の導入初期には高価な財であったことと併せて考えると、初期の普及を後押しした可能性が示唆される。3つめと4つめの点については、地方自治体の補助金の効果や、設置主体が地方自治体であることは、正の係数を示し傾向としては普及を押し上げているが、有意な結果ではなかった。以上の点を踏まえると、風力発電の存在自体は太陽光発電の普及を推し進めるが設置主体が地方自治体である必要はなく、民間の電力会社などの設置を誘致する形でも効果があった可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析に関しては2年目までに予定していた政策間の関連性の分析のファーストステップに到達しており、順調に推移している。 しかし、昨年度行った研究結果の雑誌投稿が進んでおらず、結果の公表という点でやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ストックとなっている論文について、投稿を行う。また、現在学会報告を行っている研究結果についても論文の形にして投稿を行い、自治体間の政策の関連性についての分析に着手する。
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Causes of Carryover |
当初自治体にアンケートを行う予定であったが、種々の資料を収集した結果、全市町村に対するアンケート調査が必ずしも必要なくなったため。 また、2016年度は最終年であり、英語論文の校正や学会における報告などの活動が増えること、当初の予定よりは論文の執筆・投稿のスケジュールが遅れていることなどから、翌年度にある程度の規模の予算を確保したほうが良いと判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は現時点で2つの学会において報告を予定しており、更に英文校正前の英語論文が2本存在するため、それらの旅費・校正費用として利用する予定である。
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Research Products
(1 results)