2015 Fiscal Year Annual Research Report
ベスト・ワースト・スケーリングによる環境評価の手法開発と生態系の価値評価への適用
Project/Area Number |
26780162
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
柘植 隆宏 甲南大学, 経済学部, 教授 (70363778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境評価 / 表明選好法 / ベスト・ワースト・スケーリング / 支払意志額 / 生態系サービス / 海洋生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海域の生態系サービスの価値評価において、ベスト・ワースト・スケーリング(BWS)の支払意志額(WTP)推計手法としての性能を仮想ランキングや選択実験との比較で明らかにするとともに、信頼性向上のための改良を図ることを目的としている。 平成26年度には、海域の生物多様性保全に関する現状の把握、BWSに関する先行研究のレビュー、推定方法の検討、調査票の作成等を行った。 平成27年度には、平成26年度に作成した調査票を用いてアンケート調査を行った。アンケート調査では、選択実験、すべての選択肢を順位づける形式の仮想ランキング(フルランキング)、上位2位までを順位づける形式の仮想ランキング(部分ランキング)、最も望ましいもの(ベスト)と最も望ましくないもの(ワースト)を選択するBWS、最も望ましいもの(ベスト)と最も望ましくないもの(ワースト)に加えて2番目に望ましいもの(セカンドベスト)を選択するBWSの計5種類の質問形式で、海域の生態系サービスに対する選好を調べた。分析の結果、人々は海域の生態系保全に高い価値を見出していることが明らかとなった。また、質問形式間の比較より、BWSは他の質問形式と同様にWTP評価手法として有効であることが示された。 推定方法に関しては、ランダムパラメータモデルや潜在クラスモデルによりBWSのデータを分析する方法を開発した。潜在クラスモデルでは、クラス数が増えても安定的にパラメータが推定できるようEMアルゴリズムを用いた。これらの手法を用いた分析の結果、海域の生態系サービスに対する一般市民の評価は多様であることが明らかとなった。特に、海域の漁業資源を提供する役割や生態系保全の役割と比較して、レクリエーションの場としての役割に対する評価は個人間で大きく異なることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)