2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Economic Effects of Democratization
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26780163
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡田 啓介 関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民主主義 / 民主化 / 経済発展 / 制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に基づき、以下の点について研究活動を行った。
(1)民主化することで政府の行動はどのように変化するのかについて計量分析を行った。民主化すると政府は再分配的政策を実行するという理論的示唆がある一方で、現実には政府は必ずしもそのような行動をとらないという主張もある。この研究では、政府支出の総計だけではなく、健康、教育、軍事など政府支出の各項目について民主化がどのような影響を及ぼすのかを検証した。研究結果から、民主化は政府支出の総計には影響を及ぼさない一方で、健康支出の増加、軍事支出の減少をもたらすことが明らかとなった。研究成果は国際的学術雑誌Journal of Economic Behavior & Organizationに近刊予定である
(2)政治体制が貧困層の生活の質を改善するのかについて計量分析を行った。より民主主義的な政治体制になると、政府は健康や教育などへの政府支出を増加させるなど再分配的な政策をとるという主張がある。一方で、開発途上国では汚職などの影響により政府支出の増加が必ずしも貧困層の生活の質の改善につながらない可能性が指摘されている。この研究では、貧困層の状況を直接的に反映する健康水準(乳幼児死亡率、幼児死亡率、平均寿命)に着目した。政治体制に関しては、民主主義・権威主義体制のレベルだけではなく、議院内閣制・大統領制、文民支配・軍政・王政などより詳細な体制の相違を考慮している。研究結果から、民主主義が進展すると健康水準は改善し、その効果は健康水準の特に劣悪な国において大きいことが明らかとなった。また、民主主義体制であれば政治体制の相違が健康水準に与える影響は小さい一方で、権威主義体制下では政治体制ごとに健康水準に与える影響が大きく異なることも判明した。研究成果は論文にまとめ、現在、国際的学術雑誌に投稿中である。
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Research Products
(4 results)