2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of a policy competition on the location of firms under asymmetric transportation costs
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26780165
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
広瀬 恭子 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (30435094)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 租税競争 / 直接投資 / 非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、(1)これまで分析に用いたモデルを簡単化し、扱いやすい理論モデルの構築と(2)2地域モデルにおいて、輸送費用の低下と企業立地や賃金格差の関係を分析する基礎的な理論モデルの構築の2つを行った。 (1)については、政策競争または協調を行う可能性がある2つの国と第三国が存在する3国モデルを構築し分析に用いてきたが、3国モデルを、2国モデルに簡単化した。これにより、経済学的解釈を容易に導出できるようになり、現実経済への貢献度が増すと考えられる。 最も簡単な理論モデルから出発し、第三国市場から遠いと解釈される国と近いと解釈される国の2国が存在する経済での1企業の立地行動について分析した。各国の市場規模は異なり、第三国市場から近い国にのみ複数の企業が存在し、2つの国の間での貿易には輸送費用がかかるとした。この場合、第三国市場から遠いと解釈される国の市場規模が極端に小さくない限りは、第三国市場から遠いと解釈される国へ立地する。第三国市場に近いと解釈される国の方が市場が大きい場合に焦点をあてると、2国間の輸送費用の低下に伴い、企業の立地は、第三国市場から遠いと解釈される国から第三国市場から近いと解釈される国へと変化する。2国が企業誘致を目的に競争を行うと、企業の立地パターンは質的に変化しないが、第三国市場に近いと解釈される国の方が企業を誘致できる範囲が広がる。政策競争から協調へと2国が政策を転換すると、ある範囲では企業の立地が変化する。この場合、2国間で利害の対立が起こる。 (2)においては、地域間移動が可能である労働者とそうではない労働者の2種類が存在する2地域モデルで、輸送費用と賃金格差について分析するモデルを構築した。輸送費用に対し移動可能な労働者の賃金は逆U字型(非線形)になることを示した。
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Research Products
(2 results)