2016 Fiscal Year Research-status Report
稼動年齢層の社会的孤立のメカニズムの解明と孤立抑止・救済のための社会保障制度設計
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26780169
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
赤井 研樹 島根大学, 戦略的研究推進センター, 助教 (20583214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、第2テーマのアンケートの追跡調査を行った。まず、第1テーマの実験から導出された孤立への選好および第2テーマのアンケート結果を基に、ベーシックインカム、セービング・ゲートウェイ、これらのポリシーミックスを基盤とした理論的な制度設計を行った。次に、期待度の高い社会保障制度についてマルチエージェントシミュレーションとアンケートを行った。実験では、制度の細部を詰めるのではなく、現行の社会保障制度とアセットベース福祉型の社会保障制度の違いとして、一時的金銭保証と長期的な貯蓄もしくは政府給付に基づく金銭保証のどちらが実験室の中での疑似的孤立に影響を与えるのかを分析した。 実験デザインは27年度の労働実験の環境を拡張し、失業や離職に伴う孤立を想定し、一度集団から外れ、再び集団に所属する際には求職活動や職業訓練などの社会復帰費用を必要とする環境を設定した。エージェントは集団に復帰する際の費用を自身の貯蓄および政府からの給付金からいくら支払うかをあらかじめパラメータとして保有する。払った額に従って社会復帰の確率が高まる。具体的には、失業時に備え、各回の報酬および政府給付額から貯蓄を行えるようにした。そして、失業時には貯蓄額を費やして、職業訓練を受けることで、失業から復帰して、実験を続けられるようにした。そして、その「貯蓄率」、「貯蓄を崩せる時期」、「給付額」、「給付の時期」を各制度内で様々に操作する。例えば、ベーシックインカムならば貯蓄は任意で、給付は毎回一定額。セービング・ゲートならば貯蓄は毎回一定額を強制で、給付金は無し等のように様々な組み合わせを実験した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マルチエージェントシミュレーションは行えたが実際の人間を使う被験者実験が申請者の研究施設の移動により行えず、当初計画より遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の人間を使って、労働のフレキシビリティを想定した制御因子として、5回もしくは10回ごとに報酬の合計額の小さい被験者を失業させ、その分多くの失業者を再雇用するイベントを発生させる。被験者は200人とする。以上の結果を、協力率・生産性・社会復帰率などの点から検証する。また、貯蓄率と職業訓練費用の関係から社会復帰への支払意志額を検証する。
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Causes of Carryover |
申請者の研究機関移動により研究に遅延が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の遂行と論文の作成
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Research Products
(2 results)