2014 Fiscal Year Research-status Report
外国人労働者を雇用する企業の生産性に関する実証研究
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26780171
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 由紀 九州大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (30707675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国人労働者 / 労働生産性 / TFP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、企業を3つのタイプ(単純労働外国人雇用企業、専門的外国人雇用企業、外国人非雇用企業)に分類し、各タイプ企業の労働生産性や全要素生産性(TFP)を測定する。そして、外国人雇用企業の平均生産性やその分布の推定、非雇用企業との比較を通じて、日本の外国人雇用企業の特徴を明らかにする。これまで、生産性の測定と組織の多様化(ダイバーシティ)に関する研究は、それぞれが独自の進展をたどり、両者を統合した研究は十分だったとはいえない。そこで、本研究では、外国人の雇用が企業の生産性に及ぼす影響について、賃金が労働生産性に対応するという先行研究の仮定を緩めて、全要素生産性(TFP)などの多面的な指標によって明らかにすることを目指す。
外国人雇用企業の生産性を測定するためには、厚生労働省が実施する「外国人雇用状況の届出状況」調査の個票データと、経済産業省が実施する「工業統計調査」の個票データを複数年度分入手し、企業レベルでマッチングする必要がある。そこで、平成26年度は、本研究課題の採択直後から、両省庁の調査実施部局の担当者とデータ利用条件等の話し合いを行い、年度を通じて交渉を継続した結果、利用許可の見通しが立った。
また、次年度にデータマッチング作業を効率的に行うべく、政府統計の利用に造詣の深い神林龍准教授(一橋大学)の助言を得て、マッチング変数の検討、パネルデータ構築の準備に着手した。外国人雇用の有無、(外国人雇用がある場合は)雇用外国人の技能が把握できる悉皆調査を用いて企業のアウトカムをみた研究はこれまでなく、本研究で明らかとなる外国人雇用企業の実態は、外国人受け入れを巡る議論に対し、一つの論拠を提供しうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の採択後、速やかに「外国人雇用状況の届出状況」と「工業統計調査」の個票データの入手に向けて所管省庁への申請作業に着手した。当初計画では、年度内に利用許可を得ることを想定していたが、提供条件等をめぐる交渉が年度末までかかってしまい、申請作業は平成27年度4月からの開始となった。一方で、実証分析に向けた段取りは、先行研究の検討や計量経済学を専門とする研究者との議論を通じて、ほぼ予定通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「外国人雇用状況の届出状況」と「工業統計調査」のデータ入手の目途が立ったことから、4月以降、速やかに利用申請手続きを進める予定である。データの提供までは数ヶ月要する見込みであるが、12月頃までにパネルデータの構築作業を終えて、年度終了時までには、外国人雇用企業の生産性について暫定的な結果を得たい。
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Causes of Carryover |
「外国人雇用状況の届出状況」(厚生労働省)と「工業統計調査」(経済産業省)の両調査データの入手が平成26年度内に叶わなかったため、データ分析に用いるパソコンや消耗品の購入を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度中のデータ提供の目途が立ったため、平成26年度に購入を見送った設備備品や消耗品を購入する。その他の支出については、当初予定通りに使用する。
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