2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26780176
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
大野 太郎 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (90609752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロ・シミュレーション / 税 / 社会保険料 / 記入値 / 理論値 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は主に2つの研究を仕上げた。第1に『国民生活基礎調査』の個票データを利用して、家計の社会保険料負担額の理論値をマイクロ・シミュレーションによって推計し、それと各世帯が報告した記入値との比較を通じて理論値の妥当性を考察した。推計された理論値は実際の記入値と平均的にはほぼ乖離がないことを明らかにした。この成果については京都大学経済研究所共同利用共同研究拠点研究集会(8月27日、京都大学)で報告し、また「マイクロ・データを用いた社会保険料の推計とその妥当性の検証」と題した論文を財務省財務総合政策研究所のDiscussion Paperとして公表している。第2に『全国消費実態調査』の個票データを利用して、上記と同様に家計の税・社会保険料負担額の理論値を推計してその妥当性を検証するとともに、家計の財政負担に関する実態を考察した。利用データの特性上、各世帯が報告する記入値は季節性の影響を受けている可能性が指摘されている。それゆえ季節性の影響が小さい住民税に注目すると、推計された理論値は実際の記入値と平均的にはほぼ乖離がなく、誤差の分布も対所得比3%程度に収まっていることを明らかにした。また各種の税・社会保険料を合算すると、家計の財政負担は累進的な負担構造を持つが、特に高年齢層ほど財政負担の累進性が小さく、世代内の再分配機能が弱いことが確認された。この成果については「『全国消費実態調査』個票を用いた家計の税・保険料負担の推計:妥当性の検証と実態の把握」と題した論文にまとめ、京都大学経済研究所共同利用共同研究拠点研究集会(1月9日、京都大学)、日本経済政策学会(5月29日、九州産業大学)で報告した。
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