2014 Fiscal Year Research-status Report
コモディティにおけるコンビニエンス・イールドと在庫に関する理論分析及び実証分析
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26780190
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
中島 克志 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 助教 (90721572)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コモディティ / 先物 / コンビニエンス・イールド / 生産関数 / 在庫費用関数 / 共和分 / オプション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2つの分析を行った。1つは生産関数と在庫関数を用いたコモディティ価格の関係を分析したものである。もう1つは複数のコモディティ価格の関係をコンビニエンス・イールドを含めて共和分の形で関連付け、そのスプレッド・オプション価格について分析したものである。 1つ目については、離散時間における企業の利益を、コモディティの生産による収益、現物の在庫費用、先物取引によるヘッジの収益と最終時点における在庫の処分による収益によるものとして定義した。その最適解の条件を導出し、コモディティの現物価格、先物価格、限界在庫費用、制約に対するラグランジュ乗数によって特徴付けられることを確認した。そしてラグランジュ乗数と限界在庫費用の差が既存のモデルにおけるコンビニエンス・イールドであるとして、ここで得られたコンビニエンス・イールドがどのような構造を持っているかを分析した。また、企業の最適解の導出も行った。 さらには、スペキュレーターを導入した。スペキュレーターは金融取引を行いながら、消費による効用関数最大化を行う。このスペキュレーターの最適解の条件も導出し、スペキュレーターから得られる価格が企業の最適解から得られる価格とどのように関係するのかを分析した。そして、スペキュレーターの最適解の導出も行った。 上記のモデルを、複数の企業、複数のスペキュレーターが存在し、かつ複数のインプット・コモディティと複数のアウトプット・コモディティが存在するモデルに一般化し、同様の分析が行えることを確認した。 この成果の一部は日本金融・証券計量・工学学会で発表した。 2つ目の分析については、共和分を含む複数のコモディティ価格モデルにおけるスプレッド・オプションの価格を分析した。今年度はアメリカン・スプレッド・オプションの価格の分析を行い、理論価格の特徴づけを分析し、その成果を含めて現在、ジャーナルに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の一つ目の分析において、追加の分析として均衡が存在することを証明しており、それゆえ英文校正が遅れ、従ってジャーナルへの投稿も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一つ目のモデルの一般均衡の定義とその存在を証明する。これについては、主な文献資料の読み込みが完了し、概ね道筋はついている。このモデルについては、日本ファイナンス学会に報告し、また可能であれば海外の学会でも発表する予定である。そして、英文校正などを終えた後に、ジャーナルに投稿する予定である。 また、連続時間モデルへの拡張を行う。連続時間モデルについては既存のモデルとの比較を行い、どのような場合に本研究のモデルが既存のモデルを含むのかを調査する。また、可能であれば連続時間モデルでの一般均衡を定義し、その存在を証明することにも手を付けたい。連続時間モデルについても、モデルの作成と分析を終え、国際学会に発表できる水準にまで仕上げたい。
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Causes of Carryover |
国外学会での発表や英文校正を見合わせたため、その費用が未使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国外学会の発表や英文校正の費用に用いる予定である。
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Research Products
(4 results)