2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780196
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
平山 勉 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (20635221)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 高度成長 / 機械工業 / 金型製造業 / 精密機械製造業 / 成長要因 / 中小工業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高度経済成長期における金型産業の発展要因を他産業との比較を通じて解明することにある。高度成長期、金型外販を専門とする企業が成長しひとつの産業として発展を遂げたことにより、金型の需要先である量産型組立産業は潜在的な成長力を抑制されることなく当該期の経済成長を牽引する役割を担った。従って、大量生産に絶対不可欠な金型に着目し、i)金型産業分析を精級化し、これまでの研究とあわせて纏めていくとともに、ⅱ)見込生産部門であるカメラ産業の分析と比較分析を通じて、ⅲ)金型産業分析にフイード・バックし当該産業の発展要因を再考していく。それらの分析から、iv)高度成長期日本にける中小機械工業の発展要因に近づく準備を進める。このことが期間を通じての課題である。 平成28年度は、これまでに着手した研究を拡充するとともに、比較対象分野の資料整理・データ構築に重点をおいた。その結果は以下の通りである。1、熟練労働力の期間を通じての質的変化を検証するため、金型仕上工技能検定資料(国立公文書館)の収集・整理を行いデータ構築を進めた。2、戦前期日本の金型工業分析を行うために、金型工業組合資料(東京都公文書館)を収集しデータ構築を行った。3、法政大学大原社会問題研究所所蔵の「ペトリカメラエ業」資料を複写・整理とデータ構築を行った。4、経営史学会東北部会・社会経済史学会地方部会において「高度成長期金型産業の発展とその原動力」をタイトルとする報告を行った。 これらの研究の結果、当該期の金型産業では、「分業」の精緻化を通じて組織としての問題発見機構を形成していったことが、高度成長期金型産業発展のひとつの要因であることが導きだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に目標としていた従来の研究を拡充するとともに、対象・比較対象分野の資料整理およびデータ構築を進展させることができた。また、金型製造業に関する資料収集およびデータ入力作業も順調であるとともに、「精密機械工業」の成長要因検証のための「ペトリカメラ工業」資料のデータ構築も進展している。学会誌へ投稿する未投稿論文の作成も含め、論文の基礎となる論理およびデ-タの構築を行い、今後の研究に対する基礎的・発展的な実績を積み上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、28年度におけるデータ収集・構築及びこれまでの成果の見直しを踏まえ、学会での研究発表及び国内外の学術誌への成果のアウトプットに注力する。 ・7月ごろまでに既存研究拡充の成果を論文として学術誌や紀要等へ投稿する。 ・12月ごろに精密機械工業研究の成果を発表する。 ・研究の成果を秋の学会および部会等を通じて(経営史学会、政治経済学・経済史学会等)発表する。 ・金型工業および精密機械工業に関する新たな成果を論文にし、学術誌や紀要等へ投稿する。
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Causes of Carryover |
資料整理を実施するために必要としていた人件費の支出が少なかったことによる。それは、研究機関の移動に伴い、当初予定していた作業人員の確保が困難であったためである。予定していた作業については、資料整理・データ構築に優先順位を付けて対応したため、人員確保が難しかったことによる遅延を最小限に抑えることができている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に未使用であった研究資金については、東北学院大学の研究機関における研究環境の整備と充実に使用するとともに、資料収集に充てる。また、資料の整理・データ入力を行うための人材確保に目途がついたため、当該費用に重点的に支出する。
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