2014 Fiscal Year Research-status Report
リモートサービスを通した価値共創に関する日米比較研究
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26780202
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 龍史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60445872)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オフショアリング / リモートサービス / コールサービスセンター / 戦略 / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
若手(B)の研究費を用いて達成した実績は2つあり、1つが論文「ナレッジ集約型ビジネスサービスにおける問題設定のためのコーディネーション」をパブリッシュしたことで、もう1つが国際学会において「A conceptual framework for the dynamics of call service center offshoring」を発表したことである。 前者は、ナレッジ集約型ビジネスサービス(Knowledge Intensive Business Services: KIBS)における、価値創造を目指したKIBS提供側と受け手側の相互作用を考察したものである。KIBSの例としては、IT関連サービス、コンサルティング、法律・会計サービス、広告、グラフィックデザインなどが含まれるが、近年こうしたサービスが、ICT等を通して遠隔地から提供されるようになってきている。従来型の対面式のサービスではないような新たな形態のリモートサービスにおいて、どのようなプロセスで価値共創が進むのかについて、概念モデルを構築して考察した。 後者は、アメリカの研究者と協力して行った研究で、筆者は第一著者として取り組んだ。主な考察対象は、オフショアリングされたコールサービスセンターにおける価値共創プロセスであった。いわゆるオフショアリング(国際アウトソーシング)の一環として、顧客との直接的インタラクションを要するコールサービスセンターがオフショアリングされている。先行研究では、サービスマーケティングやサービスエスノセントリズムといった観点から、コールサービスセンターから提供されるリモートサービスに対する顧客の心情が研究されてきた。その一方で、本研究では、コールサービスセンターをオフショアリングする企業とそれをオフショアリング先国にて遂行するプロバイダー組織との間の価値共創プロセスを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であれば、平成26年度においては概念モデルの構築と検討のみならず、実験室実験等の実証分析にまで踏み込む予定であった。しかし、当初想定していた概念モデルの問題点などがみつかったため、実証分析へ進む前に、協力研究者との打ち合わせや、文献レビューの追加などが必要となった。当初の進め方よりも若干遅いという状態である。そのため、現在までの達成度としては「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の取り組みを通して、平成27年度では夏までに複数の概念モデルと仮説の構築が終了すると考えられる。夏期にサンノゼ州立大学の研究者と集中して打ち合わせを行い、本年度の後期には日米で実験室実験を比較しながら行う予定である。また、研究を進めていて新たに見つかったオフショアリングの新現象(パーソントゥパーソンオフショアリング)についても、サーベイなどにより調査する予定である。また、研究の流れの親和性という理由から、遠隔地から提供されるサービス(リモートサービス)だけでなく、遠隔地同士をまたいで行われるワークという現象についても応用の効く概念モデルも構築する予定である。
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