2014 Fiscal Year Research-status Report
インド企業への日本的生産システムの移転:企業間協働改善コミュニティの形成プロセス
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26780209
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
横澤 公道 兵庫県立大学, 経営学部, 講師 (20636394)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インド / 知識移転 / 生産管理システム / 関係性レント / サプライヤ / リーン生産システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、主に次の点に関する基本的研究に時間を費やした。①インドの背景情報、②対象企業、③調査に関連する既存理論とその穴と問題点、④方法論(主にケーススタディに関する理論の整理)。①調査はインドのサプライヤを対象として実施するために、インドの主の自動車産業、政治、労働組合、社会文化に関する基礎調査を行った。②調査対象企業に関する情報は、探索調査の際に入手した内部資料を基に、企業が過去に生産方式を導入したプロセスとその際に直面した課題を調査した。さらにそれを踏まえて新たに2009年から財閥ネットワークを中心に導入し、今のところ高い成果を出している導入プロセスなどをまとめた。③関連する既存理論の調査を行った。具体的には、国際的な知識移転、経営移転などの整理と、理論の穴や問題点を洗い出した。その結果、既存研究において、生産システムの移転・導入は主に、個別の企業に対するものであり、企業ネットワークに対する移転・導入という視点は非常に少ない事が判明した。個別の企業に対する知識移転は、送り手が受け手から離れた際に知識や技術の維持という点で問題があった。しかし、企業ネットワークに導入することで、定期的な企業間の品質管理ミーティングや、人の交流、そして相互監査作用により、移転された知識や技術などの定着が促進されると仮定している。また、関係性レント創造に関する理論の視点から、知識移転の程度の差は、企業ネットワークに属している企業間の繋がり(ネットワークタイ)や、個別企業のネットワークに対するコミットメントの程度の差により左右されると仮定している。さらに関係性レントの理論でもまだ議論があまりされていない、企業間ネットワークの構築プロセスも調査を進めていく予定である。④最後に本調査においてケーススタディを行うために、ケーススタディの進め方に関して研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、上記のように基本的な情報と関連する理論の問題を勉強するために費やすのが大きな目的だったために、研究は順調に進展しているといってよい。しかし、いまだ概念モデルの段階であり、それを論文にしたり、学会で報告するレベルまで達していないため、26年度は形となる成果を出せなかった。そのために、「おおむね」順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、先行文献調査から導き出した仮説の精緻化と並行して、今年度実施する現地調査の準備を進めていく。現地調査では、インタビュー調査、観察、そしてアンケート調査を実施する予定で、アンケート調査を行うにあたって概念の操作化が現地調査実行までの重要な作業となる。現地調査の準備は、現在、対象企業と関連部署にコンタクトをとっており、調査を行うにあたり正式な承諾を頂いている最中である。 今後の課題としては、2013年にインドで探索調査を行った際のコンタクトパーソンが異なっている場合があり、調査の正式な承諾が得られるかという部分にまだ不確定要素が残る。しかし今のところ調査には前向きな回答をいただいている。また、調査の内容に関しても今後調査の対象企業との摺合せが必要な可能性があり、若干の修正が必要な場合もある。
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Causes of Carryover |
差額が生じたが、これは資料整理が大した量ではなく、申請者本人が行ったので人件費がかからなかった理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この差額は27年度は、調査のテープお越しなどの人件費に回す予定である。
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