2014 Fiscal Year Research-status Report
新規株式公開を契機とした株式所有構造と企業経営の変容プロセスに関する実証的研究
Project/Area Number |
26780211
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
赤石 篤紀 北海学園大学, 経営学部, 教授 (10364233)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 株式公開 / IPO / ベンチャーキャピタル / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、新興市場でIPOを行った非金融企業に関する既構築データベースに、平成26年1月~12月にIPOを行った企業のデータと、平成26年1月~12月の決算データを加えて、データベースの拡張を行い、①業績パフォーマンスと株式所有構造の推移、②VCの保証効果、②株式所有構造と業績パフォーマンスの関係に関する検証を行った。それぞれの概要は以下のとおりである。 ①の業績パフォーマンスと株式所有構造の推移に関する分析では、ア)IPO後に成長が鈍化、イ)収益性についてはIPOをピークとした逆V字現象が見られること、ウ)IPO後に株式の分散化と所有と経営の分離が進むものの、支配株主が誰かによって、その程度やスピードが異なることが明らかとなった。 ②のVCの保証効果の検証では、VCからの投資を受けている企業ほど、ア)IPOまでの期間が短く、イ)小規模で、ウ)IPO後の成長率が高いが、VCから投資を受けているからといって、エ)IPO後の収益性については必ずしも高いとは言えず、またオ)成長率の伸び方に差がないことが明らかとなった。 ③の株式所有構造と業績パフォーマンスの関係の検証では、株式所有の集中度が高くなるほど、収益性が高くなる傾向が明らかとなった。 これらの発見事実については、「新規株式公開前後の業績パフォーマンスと株式所有構造の変化」、「わが国の金融システムにおけるVCの意義~VCの保証効果に関する検証から~」、「新規株式公開後の業績パフォーマンスと株式所有構造の関係」として、平成27年度に学術論文にて、公表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
決算期の到来によって経常的に追加されるべきデータの入力に加え、本研究課題の遂行に必要な追加データ(取締役会の人数や構成、運転資本管理に関わるデータ)を、分析用のデータベースに加えることができ、平成26年度に予定していた2つの検証:①VCの保証効果の検証、②株式所有構造と業績パフォーマンスの関係に関する検証を完了することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、以下の3つである。 第1に、新たなIPO、新たな決算期の到来により追加されるデータを、現データベースに加えて、分析の頑強性、拡張性を高める。また、必要に応じて、外部のデータベースのアクセス権を入手し、拡張を図る。 第2に、本研究の遂行の過程で得た知見(定量的分析で得られた知見)を踏まえ、経営者ないし財務担当者に対するインタビューを中心とした定性的分析を行い、定量的分析の質的な補強を行う。 第3に、本研究課題で得た知見について、順次、学術論文・学会発表の形で公表を行っていく。
|
Causes of Carryover |
当該年度における外部データベースの購入を取りやめ、より安価で柔軟性の高い、人による手入力に切り替えて、データベースの拡張を行ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金額は、分析を円滑に進めるための、あるいはより高度な分析を可能にするための外部データベースの購入あるいは統計ソフトの購入に充当する予定である。
|