2015 Fiscal Year Research-status Report
先進諸国におけるホワイトカラー労働者の労働時間管理
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26780212
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
渡部 あさみ 青森大学, 経営学部, 講師 (10723033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人事労務管理 / 人事労務管理の柔軟化 / 労働時間管理 / 労働組合 / ワークライフバランス / オーストラリア / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ホワイトカラー労働者の労働時間管理の国際比較を通じて、労働時間管理の適正化へ向けた人事労務管理を検討することである。 2015年度は、オーストラリア現地調査を通じて、労使双方に対するインタビュー調査より、経営側の人事労務管理の柔軟化を試みる目的と、それに対する労働側の考え、対応について明らかにする予定であった。しかし、前年度末に、代表研究者の妊娠が発覚したため、当初の予定を変更し、これまで研究代表者が行ってきた研究をさらに深めることに注力した。よって、前年度得られた調査結果について分析を深める一方で、より広い視点でグローバル化と労働について考察し、また日本国内の人事労務管理と長時間労働について、更なる考察を加えた。 まず、青森公立大学佐々木てる准教授監訳のもとAndrew Jones著『Globalization: Key Thinkers』の第三章「Conceptual Thinking: Anthony Giddens」の翻訳を行った。また、研究代表者の博士論文をもとに、日本の長時間労働問題について、国際比較を交えて考察した単著を出版した。更に、労働環境の適正化を試みるグローバル枠組み協定に関する調査研究をまとめ、研究報告を行い、その成果は論文として学会誌に掲載予定である。 上記の研究活動を通じ、グローバル化が進むなかで働き方がいかに変化し、そのことが企業の人事労務管理にいかなる影響を与えているのか、より広い視点で当該事業のテーマを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、オーストラリアにおける実態調査を通じて、日本の人事労務管理とオーストラリアの人事労務管理の異同を明らかにし、そのことが労働時間に与える影響を明らかにすることである。そのためには、オーストラリア現地企業を訪問し、労使双方に対するインタビュー調査を行い、経営側の人事労務管理の柔軟化を試みる目的、および、それに対する労働側の考え、対応について明らかにする必要がある。当該年度は、さらに対象企業を増やし、また、経営側のみならず、労働側への聞取り調査を行い、得られた研究成果は、国内外の学会で報告し、日本とオーストラリアの労働現場の実態や、人事労務管理の柔軟性の異同を明らかにする上で、議論を行う予定であった。 しかし、既述のように、前年度末に代表研究者の妊娠が発覚し、オーストラリア現地調査および学会報告等、海外への出張が不可能となった。このことにより、オーストラリア現地調査ができず、一次資料を入手することができなかった。一次資料の入手ができなかったことで、当該事業の当初の計画が予定通り進めることができず、進行はやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究代表者の産休・育休に伴い、当該事業を一時中断している。研究代表者の職場復帰の予定は2016年9月であり、それに伴い当該事業も再開予定である。 現在、事業期間の延長を予定している。当該事業では、オーストラリア現地調査を通じた1次資料の収集および、国内外での学会報告を通じた議論の深化を図ることが不可欠であり、学務・育児との両立を考えると、事業の延長は不可欠であると判断されるためである。 事業延長を申請すると当時に、オーストラリア実態調査、および研究報告・論文執筆等、研究計画を再考する。オーストラリアの人事労務管理の実態把握に関する先行資料、調査を引き続き収集するが、オーストラリア現地調査については、現在アンケート調査等を通じた事前調査を計画した後、現地調査を行うことを予定している。学会報告については、事業延長に伴い、開催学会の日程を確認しながら、再計画する。論文執筆については、当初の執筆計画を基本に、研究成果を刊行していく。
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Causes of Carryover |
2015年度9月より、「産前産後の休暇又は育児休業による中断」をしている。これに関係し、2015年度の当該事業に関する資料の購入、および出張等の支出を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該事業は、延長申請を予定している。 よって、当該事業再開後、研究計画に基づき資料収集、出張等に未使用分の予算を充てる予定である。
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