2016 Fiscal Year Research-status Report
先進諸国におけるホワイトカラー労働者の労働時間管理
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26780212
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
渡部 あさみ 青森大学, 経営学部, 講師 (10723033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人事労務管理 / 人事労務管理の柔軟化 / 労働時間管理 / 労働組合 / ワークライフバランス / オーストラリア / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度9月より、育児休暇から復帰し、当該事業の延長申請を行い、当初の研究計画の変更を行った。主な変更点は、①現地調査からインターネット調査への変更、②研究成果の発信方法の変更である。 ①現地調査からインターネット調査への変更については、既に5社のインターネット調査会社から、オーストラリアの労働者を対象としたインターネット調査の見積もりを取り、そのうちの一社と次年度実施へ向けて、実施内容等について相談をしている。調査の実施は当該年度を予定していたが、調査内容を再考する必要が生じたため、次年度に実施を延期した。 ②研究成果の発信方法の変更については、当初は国内外での学会報告を予定していたが、論文執筆による研究成果の発信を中心に変更した。2016年度に発刊した拙著『時間を取り戻す-長時間労働を変える人事労務管理-』(旬報社)をもとに、執筆の機会を得た。「長時間労働から『健康と生命』を守る人事労務管理へ向けて」『労働の科学』72巻第1号(大原記念労働科学研究所)、「長時間労働と人事労務管理」『経済』第259号(新日本出版社)、「女性正規雇用労働者の就業継続と長時間労働問題-女性正規雇用労働者が離職しない青森ダイハツモータースの事例からの一考察-」女性労働問題研究会『女性労働研究』61号(すいれん舎)と、一本の論考、二本の論文を成果発信することができた。 また、東京都社会保険労務士会研修委員会開催平成28年度人事労務管理研修会[応用編]で二度の講師担当、また、神奈川県職労本庁支部主催「長時間労働問題に関する研究会」において、研究報告の機会を得た。これらの活動によって、日本の労働現場で起こっていることを学ぶ機会を得た。 当該年度は、オーストラリアの労働者を対象としたインターネット調査を実施するに当たり、日本における人事労務管理と長時間労働問題の焦点を明確にするための研究活動を中心に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度9月より、育児休暇から復帰し、当該事業を再開した。復帰に伴い、「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請書」を提出し、当該事業の延長申請を行い、当初の研究計画の変更を行った。しかし、職場復帰後の半年間ということもあり、当該事業の進捗状況は、やや遅れていると判断できる。 当該年度は、オーストラリアにおける労働時間と人事労務管理に関するインターネット調査を実施する予定だったが、質問票を完成することができず、実施には至らなかった。調査はまだ実施できていないものの、実施に向けた準備は進行中である。既に5社のウェブ調査会社から、オーストラリアの労働者を対象としたウェブ調査の見積もりを取っており、現在そのうちの1社と、実施内容について相談をしている。インターネット調査は、次年度上半期に実施予定であり、その後、収集データの分析、および研究成果の発信を予定している。 日本の長時間労働と人事労務管理については、その後引き続き調査研究が行われている。論文や論考の研究成果を順調に発信できていることから、オーストラリアの労働者を対象としたインターネット調査ができ次第、日豪比較ができると期待される。オーストラリアの調査結果をもとに、研究成果を発信しながら、日豪の人事労務管理、および労働時間の比較研究をおこなうための基盤はできている。当該年度を終えた時点では、進捗状況はやや遅れていると判断せざるを得ない状況ではあるものの、当該事業の延長を含めた研究計画の再考によって、当該事業の研究目的を果たすことは可能であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
既述のように、次年度の上半期に、オーストラリアにおける労働者に対し、労働時間と人事労務管理に関するインターネット調査を実施する。この調査を通じて、オーストラリアの労働者が、いかなる人事労務管理のもと、どのような働き方をしていて、どのくらいの時間働いているのかを明らかにする。とりわけ、当該事業の主たる課題である人事労務管理の柔軟化が、労働時間にいかなる影響を与えているのかに焦点を当て、実態解明を試みる。調査結果の理解をさらに深めるため、オーストラリアの人事労務管理、労働問題に関する文献研究も引き続き行う。 尚、日本の長時間労働問題についても引き続き調査研究を行う。次年度は、日本経営学会東北部会、過労死防止学会第三回全国大会において、日本の長時間労働問題と人事労務管理に関する研究報告が予定されている。これらの研究報告をもとに展開された議論は論文にまとめる。とりわけ、長時間労働問題と労働生産性向上に関する議論に関し、働きやすい職場づくりに取り組む企業の事例研究を通じて、当該事業の研究課題を深めていく予定である。 本事業期間は、当初の計画では平成28年度までだったが、「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請書」が承認され、平成29年度まで延長が認められた。当該事業の実施状況と、学務と育児の状況を踏まえ、更にもう一年延長申請し、平成30年度まで当該事業を延長することを予定している。上記のオーストラリアにおける労働者を対象としたインターネット調査の分析、および、日豪比較のためには当該事業の延長が不可欠であると判断したためである。
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Causes of Carryover |
2016年9月から一年間、「産前産後の休暇または育児休業による中断」をしたため、当初の計画を大幅に変更する必要が生じた。 研究計画変更に伴い、予算執行が変更となった。当該事業を再開して、半年ということもあり、当該年度の予算を執行しきれていないのが現状である。 次年度使用額が生じてはいるものの、この予算は、次年度、オーストラリアの労働者を対象としたインターネット調査に充てることとなっており、研究計画に基づき執行されることが確定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度上半期に、オーストラリアにおける労働者を対象に、労働時間と人事労務管理に関するインターネット調査の実施を予定している。また、インターネット調査から得られたデータを分析するために、分析ソフトの購入も予定されている。 これまで行ってきた日本の長時間労働と人事労務管理に関する研究と、オーストラリアの労働者に対する調査分析をもとに、日豪比較を行い、当該事業の成果報告書を作成することで、当初の予定通り予算を消化できると判断している。
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Research Products
(3 results)