2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780213
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
佐藤 佑樹 流通経済大学, 経済学部, 講師 (20715205)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 組織による従業員の貢献に対する評価 / 組織による従業員のwell-beingへの配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は、知覚された組織的支援(POS)とその後の職務満足や組織への愛着などの職務態度との関係を解明することである。POSとは「従業員の貢献を組織がどの程度評価しているのか、従業員のwell-beingに対して組織がどの程度配慮しているのかに関して、従業員が抱く全般的な信念」のことである。つまり、POSとは組織による従業員の扱いや取り組みに対する彼ら・彼女らの評価を表した概念である。 3年計画の初年度となる平成26年度の主な目的は、POSに関わる先行研究と心理尺度の開発に関する文献レビューをするとともに、インタビュー調査を通じて日本で働く人々がどのような時に組織(会社)からの気遣いや配慮を感じるかに関する知見を蓄積することであった。平成26年度は、主として以下の3つの活動を行った。第1に、POSに関わる先行研究の文献レビューを行い、投稿中であった展望論文を完成させた。その結果、POS研究を日本で展開する際に取り組むべき研究課題が明らかになった。第2に、民間企業で働く人々を対象としたインタビュー調査を実施した。インタビュー調査を通じて、先行研究で提示された質問項目の一部が日本の労働者を対象とした研究においても利用可能であることが確認された。同時に、今後日本で研究を展開する際には新たに追加したほうがよいであろう項目が明らかになった。第3に、本研究の申請に先行して行われたインターネット調査会社を利用した定量的調査の分析を行い、POSとソーシャル・キャピタルとの関係を経験的に確認した。ここでのソーシャル・キャピタルとは「他者から自発的な支援が得られる関係性」のことである。その結果、POSがソーシャル・キャピタルの原因となる傾向が強いという仮説を支持する結果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献レビューは堅調に実施できた。当初計画していたPOS研究と心理尺度の開発に関する文献に加えて定量的な方法論に関してもレビューすることができた。しかしながら、インタビュー調査と研究成果の発信が計画よりも若干遅れている。インタビュー調査が遅れている理由は、当初インタビューを予定していた人の海外転勤や転職などの理由によりスケジュールが合わずインタビューが延期または中止となったためである。また、研究成果の発信に関しては、学会報告を予定していた年次大会の大会運営委員に任命されたことにより発表が困難となったことが理由である。以上の理由により、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度の記述にあるように、インタビュー調査が若干遅れている。そのため、研究計画を一部変更し今後はインタビューの対象を正規従業員に限定する。インタビュイーを確保するために研究計画調書に記載した研究アドバイザーの協力をお願いする。 平成27年度の活動の中心は、①文献レビューの継続、②インタビュー調査の継続、③定量的調査の実施、④研究成果の発信(投稿論文の作成と学会報告)である。文献レビューでは、組織行動論関連の文献を中心に定量的な方法論についてもレビューを進めていく予定である。定量的調査に関してはインターネット調査会社を利用して実施する。定量的調査では時系列データとして収集することを目的に調査票をデザインする。研究成果の発信に関しは投稿論文の作成と学会報告を行う予定である。なお、学会報告の機会を増やすため関連する学会への入会を検討している。
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Research Products
(2 results)