2015 Fiscal Year Research-status Report
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26780218
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
古瀬 公博 武蔵大学, 経済学部, 教授 (70401677)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済社会学 / オークション / 市場秩序 / 集合財 / 流質品市場 / 市場慣行 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度においては,古物・骨董の業者間市場における定性的調査を進めるとともに,東京・大阪における流質品市場の取引慣行の歴史的推移に関する調査を行った.後者の研究課題は,市場においては売り手と買い手,また,市場を取り仕切る代表者の利害と,プレイヤー間のパワーバランス,市場を取り巻くマクロ環境などの影響によって,そこで生成する取引慣行は変化しうることに注目したものである.2015年度はこれを追跡するための作業を中心に行った. 具体的には,流質品市場における市場の形成と慣習の変化に関して,質業者に対するインタビュー調査(5名,東京,埼玉)を行った.また,特徴的な取引慣行をもつ流質品市場(1件,埼玉)におけるフィールド調査も行っている.これらの定性的調査に加えて,東京質屋会館に所蔵されている『大阪質屋業報』の閲覧を行い,東京とは異なる取引慣行をもつ大阪の流質品市場について予備的な調査を進めた.流質品市場に関する調査以外では,骨董商1名(東京)に対するインタビュー調査と,骨董品市場(1件,新潟)におけるフィールド調査を行った. 研究報告としては,American Sociological Association on Annual Meeting (2015/8/24, Chicago)にて,"Provision of collective behavior in markets: Closed-auction markets for antiques and secondhand goods in Japan"を論題として行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度においては,流質品市場の調査を中心に進めたものの,資料の閲覧に想定よりも時間がかかるなどしたため,論文の公刊にまでは至らなかった.おおよその原稿は完成しているので,2016年度には公刊することが可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は,流質品市場の歴史的な変遷に関して,大阪などの質業者に対するインタビュー調査を行い,それをもとに論文を発表する予定である.また,骨董業界に関しても,引き続き調査を進め,とくに東京美術倶楽部の会員を対象にインタビューを進めていく予定である. 研究成果の発表に関しては,2016年度も国際学会での報告を行うことが決定している.また,国内・国外の学会誌への投稿も進めていきたい.
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Causes of Carryover |
2016年度はサバティカルの期間になるため,国際学会での報告を複数回行う予定である.そのため,旅費を多く支出すべく,使用計画を変更した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在のところ,予定している学会報告は,2016年6月に行われるSociety for the Advancement of Socio-Economics (UC Berkely)と,2016年9月に行われるBritish Academy of Management (Newcastle University)の2件である.これらの報告のための旅費として使用する計画である.
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