2015 Fiscal Year Research-status Report
産学連携成果の実用化・事業化プロセス:組織内部マネジメントの在り方
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26780232
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
高 永才 甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (40508561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラットフォーム企業 / ニッチ企業 / 新市場の形成 / 企業間の信頼 / 産学官連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度(平成27年度)における研究の目的は、プラットフォーム企業とニッチ企業の市場拡大のための共生の在り方を明らかにすることであった。特に、プラットフォーム企業がニッチ企業をどのように巻き込み、市場を広げていくか、というのが一つの課題であった。 まず、産学官連携という形態で実証事業を行った企業の中で、プロジェクトマネージャとなっていた企業にインタビューを行った結果、産学官連携という形態で実証事業を行うのと並行的に社内で同様のプロジェクトが走っていたことが明らかになった。つまり、事業化の可能性を産学官連携を通した実証事業のみで探したのではなく、その他でも探し、その中でニッチ企業となる企業を探していたことが明らかになった。 さらに、産学官連携を通した実証事業を行う際にも、それまで全く取引がなかった企業と共に実証事業を開始したのではなかった。それまで取引の実績があった企業、もしくは、他社の紹介により参画した企業と共に実証事業を行っている。これが暗に示すことは、プラットフォーム企業がニッチ企業を探す際、さらに、ニッチ企業がプラットフォームを探し、双方の共生を図る際に、それまでの実績や信頼を基に市場が確立される可能性である。 完全競争の社会では、新たな産業が誕生し市場が拡大する背景の理論として自由競争が前提となっていたが、プラットフォーム企業のみならずニッチ企業の実績、さらには他社の紹介による信頼が、新たな市場を形成し、共生を図る第一歩となる可能性を示すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業インタビューや調査報告書を背景に研究を進めていく中で、インタビューを行った企業が他の企業の担当者を紹介してくださり、そうした形でインタビューが進んでいる。具体的には、実証事業に参画した企業がその後、どのように成果を新事業又は、既存事業に用いているかを調査しつつ、市場拡大のために行っている努力についても調査している。 ただし、研究の対象としている実証事業は、四つの都市で実証されており、さらに、各都市において大きく四つのプロジェクトが走っていたため、それらをすべて網羅し、理解しているインタビュー相手に出会うことは困難となっている。また、2015年3月末日で、すべての実証事業が完了しているため、各企業の担当者が他のプロジェクトに移行しコンタクトが難しくなっている場合もある。しかし、実証事業の成果を活用し、事業活動を続けている企業もいるため、引き続き、全体像を把握しつつ、産学官連携を通した実証事業の在り方を調査していくつもりであり、予定していた研究内容を調査、論文としてまとめることが可能と予測できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①研究における今後の推進方策 ・現在、インタビューを行っている企業の方々にインタビューを行い情報を収集しつつ、産学官連携に参画した他の企業の方々の紹介をお願いし研究を続ける。そこでは、産学官連携の成果をどのような事業にて、どのように展開しいるのか。さらに、そのような成果をどう社内に取り入れたのかも明らかにする予定である。さらに、国内のみならず海外において産学官連携の成果を活用しているのであればその在り方も明らかにする予定である。 ②研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題 ・研究の対象であった、「次世代エネルギー・社会システム実証事業」が既に終了し(2015年3月末)その成果が記述してあったHPが閉鎖されたため、実証の成果を各企業に問い合わせざるを得なくなったが、個別企業の協力及び、成果の公開が進んでいるため、今後も継続的に調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究対象である「次世代エネルギー・社会システム実証事業」が2015年度3月に終了している。四つの市で実証されていたプロジェクトの担当者及び行政にインタビューをする予定であったが、中には担当を外れているため、インタビューが難しい場合はコンタクトそのものに苦戦している場合がある。そのため、インタビュー関連経費やインタビューのテープ起こし費用が使用されず残っている。 しかし、いくつかの展示会や関連する他企業のインタビューの際に、仲を取り持ってくださる方々に出会えているので、引き続きインタビューが出来るように努力する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は、インタビュー対象を広げる予定である。研究の対象である「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に参加した企業は、成果を基に、スマートグリッドシティーやスマートグリッドタウンに関する事業を展開している場合がある。彼らの事業と関連する展示会に参加し、事業展開の在り方を伺う予定である。 さらに、その後、研究の内容を説明し、各企業にアクセス、インタビューをお願いし実施する予定である。
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