2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780233
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
柴田 好則 松山大学, 経営学部, 准教授 (50612454)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際人的資源管理 / HRMシステム / 文化 / 職務設計 / 組織市民行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、異文化下において有効なHRMに関する調査・分析を、各研究課題に即して実施した。以下に、研究課題毎の中間実績を記す。 「日本と東南アジア諸国で展開されているHRM の差異に関する実態把握」については、国内では大阪と広島、東南アジアではタイとインドネシアの民間企業数社の従業員を対象としたインタビュー調査と質問票調査を行った。調査の結果、日本と比べて東南アジアの国々では、自律的に仕事ができる範囲を狭めて業務ルールの厳格化を進める管理を実施している企業が様々な業種でみられることを明らかにした。「国レベルの文化的特性がHRMに与える影響の解明」については、Bratton & Gold(2003)をはじめとするHRM 類型に関する諸研究を考察し、HRMの文化的な適応方針の利点と欠点を理論的に整理した。「文化的特性がHRMと個人・組織レベルの成果との関係に与える影響の解明」については、同様に各国の民間企業を対象とする実態調査を行った。調査の結果、日本と比べて東南アジアでは業務ルールの厳格化・公式化が従業員の肯定的な職務態度につながることや、従業員の関心が自身の業務や職場の人間関係に限定されており、職場全体の方針や習慣を改善する行動に対して消極的であることなどが明らかとなった。これらの結果は、文化的特性が異なれば客観的には同じHRM の施策に対して、行使の対象となる従業員が異なる職務態度を示す可能性があることを示唆するものである。 これらの発見事実に加え、東南アジア諸国では、職場の凝集性を高めたり労使関係に強く配慮したHRMが従業員の職務態度に肯定的な影響を与えていることも明らかにされた。これらの点が平成26年度の研究によって明らかにされた知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、次年度以降に行われる実証研究へ向けて、日本国内とタイおよびインドネシアの民間企業数社を対象とする調査を実施し、発見事実を抽出・整理することであった。当該年度中にこれらの目標を予定どおり実施することができ、異文化下において有効なHRMモデルを構想していく基盤が整理されたという点で研究は着実に進展している。 さらに、モデルの一般化に向けた定量的調査の一部は既に実施しており、大規模な質問票調査を次年度以降に実施する準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、日本と東南アジア諸国だけでなく、アメリカも加え、異文化下において有効なHRMに関する大規模な定量調査の準備を進めていく。また、これまでと同様に、当該モデルの構想に関わる重要な先行研究については適宜レビューを行ない、考察を加えたうえで整理していく作業を継続していく。とりわけ欧米の学界で精緻化されてきた当該モデルの枠組みの他国での追試可能性について深い考察を行う。 なお、これらの調査と並行して、研究成果の報告を積極的に実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では調査用ICレコーダーとファイル文具を購入する予定であったが、持ち合わせで対応することができたため、その分の次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は文献の収集、質問票調査の実施、国内外への調査旅費のための使用を予定している。
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Research Products
(4 results)