2014 Fiscal Year Research-status Report
効率性の神話的効果に関する研究:切削加工を介した中小企業の戦略的提携事例を通じて
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26780234
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
上西 聡子 九州産業大学, 経営学部, 講師 (70632842)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新制度派組織論 / 効率性概念 / 戦略的関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新制度派組織論によって「合理化された神話」と捉えられた効率性概念に対する理論的深耕を通じて、効率性を追求する企業間で形成される戦略的な提携関係の動態的なプロセスを探求することである。この目的のもと、平成26年度は、(1)新制度派組織論の研究レビューを通じた効率性概念に関する理論的検討、(2)株式会社山本金属製作所を対象としたパイロット調査の着手、という2点を計画として掲げていた。 具体的に、(1)に関しては、新制度派組織論の礎となった古典的議論を、ウェーバーの官僚制論や近代化論の議論にもとづいて再解釈した。もともと新制度派組織論はウェーバーの議論が始まりになっていたにも関わらず、これまでウェーバーの議論の理解にまで踏み込んだレビューは少なかった。そのため、ウェーバーの学説史に関する最新の議論を収集し、そこで得た理解をもとに新制度派組織論の再解釈を行った。その成果は、紀要に公刊した。次に、新制度派組織論の古典的議論だけでなく、最新の議論を理解するために、新制度派組織論関係が報告の半数を占めるAmerican of Managementに参加し、情報収集をした。そこでは、制度派組織論にも造詣が深い多数の研究者と意見を交換することもできた。また、(2)に関しては、来年度以降に開始する経験的研究のためのパイロット調査として、株式会社山本金属製作所の社長である山本氏にインタビューしつつ、山本金属のクロニクルな取り組みを整理した。 このように本研究の意義は、組織研究のコアとなりつつある新制度派組織論に立脚しつつ、企業が効率性を追求する根源的な動機に対する理論的根拠を探求することにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目的は、(1)新制度派組織論の理論的深耕、(2)パイロット調査の着手、の2点を通して、平成27年度以降に行う調査研究の基盤を構築することにあった。この点に関して、研究実績の概要にも記したように、理論的および経験的研究の両方ともに着実に進んでいる。加えて、平成27年度からもスムーズに研究が進められるような基盤を構築することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も、平成26年度と同様に、理論的および経験的の両側面から研究を進めていく。まず、(1)理論的研究としては、平成26年度に行った理論的検討をもとに、企業が効率性を追求する根源的な動機を明らかにするための議論をより集中的に深耕していく。平成26年度は、新制度派組織論の理論的根底にあるウェーバーの議論の再検討を行ってきたが、平成27年度も引き続き行いつつ、最新の議論との交わりを探求していく。古典的議論の再解釈を行っても、最新の議論との断絶があっては理論的有用性が低い。そこのつながりを明らかにするための議論を集中的に検討し、より精査した分析枠組みを構築する。 また、(2)経験的研究としては、平成26年度にパイロット調査を始めた株式会社山本金属製作所に対しても引き続き調査を行いつつ、その戦略的取り組みを支える周辺の企業にも調査研究を始めていく。これまで中小企業一社に焦点を当てた研究は数多く存在してきたが、同社が行っている取り組みは一社ではなく、多角的(エコロジカル)な視点から捉えることで初めてその意義が明らかとなる。そのため、今後は同社以外の企業に対する調査に着手していく。
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Research Products
(5 results)