2014 Fiscal Year Research-status Report
ブランド態度の形成における自己と他者の評価の役割についての研究
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26780239
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉谷 陽子 上智大学, 経済学部, 准教授 (40514203)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ブランド / 態度 / 消費者 / 認知 / 感情 / 自己 / 他者 / 態度の持続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブランドスイッチの起きにくい強く持続的なブランド態度は、どのようにして形成されるかについて検討することであった。従来の態度研究では、態度は「認知的評価」と「感情的評価」から構成されると考えられてきたが、本研究では、それぞれをさらに次の2つに分類できると仮説を立てた。すなわち、個人の経験や知識に基づく評価(=自己ベース評価)と、他者の知識や意見に基づく評価(=他者ベース評価)であった。本研究では、ブランドに対する態度が、「自己ベース感情」「自己ベース認知」「他者ベース感情」「他者ベース認知」の4つの構成要素に分類できることを前提とし、「自己ベースの感情的評価」が高いとブランド態度が強く持続的になるだろうという仮説を立てた。 しかし、ウェブ調査の結果は、仮説を支持するものではなかった。「他者ベース評価」も「自己ベース評価」も、ともにブランド態度が強く持続的であるために等しく重要であることが示唆された。そこで、認知傾向の個人差によって消費者を分類して再度分析を行った。他人が自分をどう見ているかを観察する能力の高い消費者は、ブランド評価の際、「他者ベース評価」を重視する傾向があるだろうと予測される。したがって、他者に共感する能力(Empathizing: この得点が高い群をE群とする)と、物事をシステム化して捉える能力(Systematizing: この得点が高い群をS群とする)によって消費者を分類し分析を行った。その結果、S群では各構成要素によってブランド態度が有意に予測されたが、E群ではいずれの要素でも説明できない結果となった。しかし、詳細な分析結果から、本年度の調査の様々な問題も明らかになった。具体的には、「態度の強さ」を自己報告で測定することの問題、調査で取り上げるブランドのカテゴリの問題、E群とS群の尺度構成の問題等である。これらを改善して再度調査を行うことが今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、日本と米国の一般消費者を対象としたウェブ調査を実施し、仮説を検証した。仮説が支持されなかったという問題はあったが、次年度に向けた示唆や課題が浮き彫りとなり、予定通りの進度であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査によって浮き彫りとなった問題点(個人差を測定するための尺度の問題、実験で扱うブランドのカテゴリの問題、従属変数の測定方法)について、改善を行い、再度仮説の検証のための調査及び実験を行う。従属変数の測定については、計画を変更し、自己報告以外の方法を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は計画通り進行しており、\2,329の残高は旅費や調査費などを可能な限り節約した結果による差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)