2014 Fiscal Year Research-status Report
他選択肢が文脈要因として消費者の意思決定に与える影響の神経科学的解明
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26780244
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 准教授 (60422200)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 意思決定過程 / 他の選択肢 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「他の選択肢の存在がある選択肢の購買意思決定に与える影響」を説明する数理モデルの構築を試みることを目的としている. そのために,初年度は,既存の文献レビューを中心として「他の選択肢」についての検討を行い,これによりどのように消費者が意思決定における情報選択や情報処理を変更するのか,二つの面から考察した. まず,購買場面における大きな文脈要因として,近年では小売店によるPBの積極展開による商品に対する消費者の認知的な影響および心理的影響が急速に増している事が予想されたため,この影響について調査した. PBの積極展開は一方では購買における選択肢の低下を招き,購買場面やPBに対する心理的な評価を下げることがある一方で,この影響が商品カテゴリーによって大きく異なることがわかった.この結果は今後行う事を予定している視線計測実験に大きな示唆を与えるものであった. 一方で,同一商品カテゴリー内で,選択肢の比較を行う際に比較的関係する属性数が限られ,また数値化しやすい購買場面として,「賃貸物件」における意思決定過程のモデル化を試みた.各属性の評価は数値化によって優劣をつけやすいが,選択肢自体の評価はこれらの組み合わせ問題が生じ,実際の購買場面でも葛藤状態が起きるが,その際の情報処理について脳科学的な数理モデルである「対属性仮説」を援用して説明を試みた. 以上の二つの方向から,選択肢同志が選択肢の評価や意思決定に与える影響について,文献レビュー・アンケート調査・数理モデル化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度については,当初の予定通り,文献整理と数理モデル化の二つの方向から研究を進めることができており,またその成果については4つの学会発表を行っている. 以上の点から総合的に勘案して,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に視覚心理学的な手法を用い,モデルの実証実験を行うことと,消費者の状況依存的な意思決定過程を動態的に説明するモデルの構築と検証を行うことの二つを進めていくことを予定している. 上述の通り,初年度の成果の一部は視線計測実験に大きな示唆を与えるものであったため,これを活かしながら現在心理実験について準備を進めている所である.
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Causes of Carryover |
実験協力者に対して支払う謝金や出張旅費について当初の研究計画より後ろ倒して使用する必要が生じたため,研究の進捗にあわせて予算も次年度に繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験補助アルバイトに対する謝金および出張旅費に充当する.
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Research Products
(4 results)