2016 Fiscal Year Annual Research Report
Neuroscientific Model of Alternatives Influence in Consumer Decision Making Process
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26780244
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 准教授 (60422200)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 背景要因 / 再購買意図 / 口コミ行動 / 社会的共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初の研究計画に沿い,文脈の要因として購買の背景による影響を説明するモデルの検討と実証的な調査を試みた. 具体的には意思決定の背景要因として消費者のサービス購買後の口コミ行動に注目し,この口コミに対する動機やその後の企業対応が同サービスの再購買において,どのように再帰的に影響していくのか,どのような心理的要因に影響していくのかという観点から解明を試みた. 購買後の不満について企業に直接訴える消費者が減少しているという指摘がなされている一方で,口コミサイトなど,インターネット上において不満に基づいた口コミ行動を起こす事が増えている.実務的にも,対象企業はサイト上でのこうした口コミ行動に対する適切な対応の重要性が増している.本研究では,不満足から発生する口コミ行動について,感情的経験を他者に語る対人行動を示す「社会的共有」(Rimeら, 1992)の枠組みから検討した.社会的共有の動機は5つあるとされるが,川瀬(1997)の実証分析により,その中でも「受容と理解」「信念の回復」の動機が大きな影響要因であると考えられる.両者の動機は不満足の解消に必要な心理的要素が大きく異なると考えられるため,不満足表明者が持つこの二つの動機の違いによって,消費者が企業に求める返信の対応が異なると考えられる.こうした視座に立ち,本研究では,①消費者の口コミに対する返信内容の持つ共感性が,消費者の心理的評価に影響を与えること,および②その影響は,消費者の口コミ動機によって異なることを実証した.結果から,口コミ動機の「信念の回復」は「受容と理解」よりも返信に対する心理的評価への影響が高く,特に返信内容の共感性は閲読者の「許し」評価に有意に影響することが示唆された.この結果に基づき,現在概念同士の関係性についてモデル化を進めているところである.
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Research Products
(1 results)