2016 Fiscal Year Research-status Report
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26780251
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 准教授 (50555068)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原価企画 / 逆機能 / 人間心理 / 写像性 / 配賦基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原価企画をどう実施すれば、意図しない結果(逆機能)が生じないかを心理学、マーケティングといった学際的な視点から解明するとともに、そこで果たす管理会計(原価計算を含む)の役割を明らかにすることである。この目的に従い、本年度は、原価企画の望ましい結果を具体的に実感でき、かつ逆機能が生じないようにするための試みの一つとして、原価計算の現代的役割から考察をした。 これまでの原価計算の主な役割の一つには、原価計算対象にかかるコストをより忠実に測定することであった。一方、現代の企業が求める原価計算の主な役割の一つには、原価計算対象とコストとの因果関係だけでなく、あるいは因果関係よりもむしろ現実にコストが低減できるような方法があげられる。それは、原価計算(が有数する数々の手法)から算定される会計数値が、組織成員の行動(人間心理)に働きかけ、組織成員がその会計数値を意識して行動した結果、コスト低減の実感が持てるような方法である。 原価計算を含む会計をどのように工夫すれば、原価企画を実施する際に、組織成員の行動(人間心理)が逆機能に向かわないのか、現時点では未だ十分に分かっているとはいえないものの、一つの重要な点として分かってきたことは、言葉および言葉に反映された文化が、原価企画の逆機能問題を考えていく上で鍵の一つになるのではないかということである。 現在、この点について、検討をさらに加えており、その研究成果を今年9月に開催される日本原価計算研究学会全国大会にて報告を予定している。このため、本研究は事業期間が平成26年度から平成28年度までであったが、平成29年度まで研究期間の延長を申請し、実施することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究成果報告を関連学会で行うに当たり、当初の事業期間内に間に合わなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、言葉および言葉に反映された文化に着目しながら、本研究課題である原価企画の逆機能問題について検討を加える。 また、これまでの原価企画の逆機能問題に関する先行研究では、原価企画の逆機能が原価企画の成果に悪影響を及ぼすという側面が強調され、原価企画の逆機能に対するポジティブな側面を見出してこなかった。 そこで、本年度は、原価企画の逆機能をネガティブな側面として捉えるだけでなく、ポジティブな見方で捉え直すことで、企業経営に利用できないかを検討する。
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Causes of Carryover |
研究成果の報告を2017年度の学会で報告を予定しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会報告のための旅費および研究報告資料に必要な資料収集・論文作成に関する費用として使用を予定している。
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Research Products
(1 results)