2017 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary study on disfunctional effect of the target costing
Project/Area Number |
26780251
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 准教授 (50555068)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 人間心理 / 生活様式 / 逆機能 / 言葉 / 情報技術の進展 / 不調和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原価企画をどう実施すれば、意図しない結果(逆機能)が生じないかを学際的な視点から解明するとともに、そこで果たす管理会計の役割を明らかにすることである。この目的に従い、本年度は、実態調査を踏まえつつ、また本年度が本研究の最終年度であることから、これまでの研究内容を総括しながら原価企画の逆機能問題を検討してきた。加えて、研究を進めていく中で、原価企画理論の発展にとって、この逆機能問題がどのように関連しうるのかについても考察した。 結果、次のことが分かった。それは、①原価企画の逆機能問題の一端には、人間心理、情報技術の進展と日本の考え方・文化の不調和が関係しうること。そして、②原価企画の逆機能問題を当該理論の発展に寄与するような視点で考察すると、以下の事柄を検討する時期に入ったことを逆機能が告げる役割を果たしうることである。その事柄は、原価企画が本来のやり方で実施できているかを再確認する時期、種々の取り組み内容を見直す時期に入ったこと、社会構造の変化が起き始めている時期に入ったこと、原価企画理論をより学際的に、特に人間心理や行動が逆機能問題に深く関係することが分かってきたことから、脳科学、社会心理学、文化人類学、宗教など他分野からの知見をもっと援用して検討し始める時期に入ったことである。 ①については、実態調査を通じて、会計数値を含めた「言葉」の解釈が情報技術の進展によって(たとえば、メール)、困難になってきたことが、言葉の受け取り方に各々で違いがあり、その後の運営に支障をきたすことがあったり、仕事内容によって誰が担当すべきかが曖昧な部分もあり、欧米文化のような仕事の明確な区別や、曖昧さをなくすために互いが話すべきという意識が、日本ではまだ受容できていないところがあることである。 このような点から、管理会計の影響システム的側面の役割が期待されているといえよう。
|
Research Products
(2 results)